公開日
2025/04/11更新日
2025/06/26
新NISA(少額投資非課税制度)とは?

新NISA(ニーサ)は、日本政府が個人の投資を促進するために設けた、投資から得られる利益に対して非課税となる制度です。通常、株式や投資信託などの投資による利益には、20.315%の税金がかかりますが、新NISA口座を利用することで、この税金を免除してもらえることが大きな特徴です。
新NISAは、少額からの投資をサポートし、資産運用に対しての税制優遇を提供することで、多くの人に投資の入り口を提供しています。
新NISAの種類
新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2種類があり、目的や運用スタイルに応じて選ぶことができます。「つみたて投資枠」と「成長投資枠」は併用可能で、生涯の最大保有限度額は1,800万円です。そのうち成長投資枠での利用は最大1,200万円までとなっています。
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
対象商品 | 金融庁の基準を満たした投資信託・ETF | 国内/外国の上場株式やETF投資信託など |
対象商品の数 | 318本 | 2,000本以上 |
年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
非課税期間 | 無期限 | |
対象年齢 | 18歳以上の日本居住者 | |
購入方法 | 積立 | 一括・分割・積立 |
口座開設期間 | 恒久化 |
つみたて投資枠
つみたて投資枠は、年間120万円、最大1,800万円まで非課税で積立投資できる制度です。投資対象は、金融庁が定めた一定の条件を満たす投資信託とETFのみ。ハイリスクの商品は除外されているため、長期的な資産形成に適しており、投資初心者でも投資しやすい制度です。
成長投資枠
成長投資枠では、年間240万円、最大1,200万円まで非課税で投資ができます。投資対象は、投資信託だけでなく、国内/外国の上場株式やETFなどさまざまな商品へ投資が可能です。また、一括買付や積立投資(投信・日本株・米国株)にも対応しており、自由度の高い運用ができます。
旧NISAと新NISAの5つの違い
2024年から新NISAが始まり、より使いやすい制度になりました。ここでは、これまでのNISAとの違いについて詳しく説明します。
旧NISA | 新NISA | |||
つみたてNISA | 一般NISA | つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
非課税保有期間 | 20年 | 5年 | 無期限 | |
NISAの併用 | 併用不可口座開設時に選択 | 併用可 | ||
年間投資枠 | 40万円 | 120万円 | 360万円 | |
120万円 | 240万円 | |||
非課税保有限度額 | 800万円・600万円 | 1,800万円(成長投資枠は1,200万円まで) | ||
制度存続期間 | 2042年まで | 2023年まで | 恒久化 |
非課税保有期間が無期限
新NISAでは、非課税保有期間が無期限化され、運用で得られた「売却益」や株式の「配当金」投資信託の「分配金」に一生涯税金がかからなくなりました。旧NISAでは、つみたてNISAは最長20年、一般NISAは最長5年と、非課税で運用できる期間に制限があり、長期的な資産形成が難しい側面がありました。しかし、新NISAでは非課税期間が恒久化されたことで、長期的な資産形成が可能になり、安心して運用を続けられます。
積立投資も個別投資も両方可能
新NISAでは、つみたてNISAにあたる「つみたて投資枠」と一般NISAにあたる「成長投資枠」の両方で投資が可能です。旧NISAでは、口座開設時に、つみたてNISAか一般NISAのどちらかを選ぶ必要がありましたが、新NISAでは2つの投資枠が併用できるようになり、目的に応じた柔軟な投資ができるようになりました。
そのため、つみたて投資枠で毎月コツコツと投資を行う一方で、金銭的な余裕ができたときに成長投資枠で個別株式の投資を行うなど自由な投資が可能です。
非課税保有限度額が最大1,800万円
新NISAになり、非課税保有限度額が最大1,800万円(うち、成長投資枠は1,200万円まで)に拡大しました。年間では、つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円の最大360万円まで投資ができます。新NISAでは、旧NISAの2〜3倍の投資が可能になり、投資額が増えるほど節税のメリットを受けられるため、資産形成がしやすくなっています。
売却すると非課税投資枠が復活
旧NISAでは投資枠は使い切りでしたが、新NISAは売却して空いた投資枠を翌年以降、再度利用できます。生涯非課税総投資額の1,800万円を使い切ったとしても、保有する商品を売却すれば何度でも投資が可能なため、実質総額1,800万円以上の投資が可能です。
制度の恒久化
旧NISAでは制度自体に期限(つみたてNISAが2042年まで、一般NISAが2023年まで)が定められていましたが、新NISAではこの期限が恒久化されました。そのため、長期投資が可能となり、自分のライフスタイルに合わせて資産形成を行えるようになりました。
フリーランスが新NISAで投資を行う6つのメリット
2024年にNISA制度が刷新され、フリーランスにとって資産形成がしやすくなりました。ここでは、フリーランスが新NISAで投資を行う6つのメリットを紹介します。
少額から始められる
新NISAでは、少額からでも投資を始められます。特につみたて投資枠では、月々数千円からでもコツコツと積み立てが可能です。無理のない範囲で投資ができるので、投資初心者でも無理なく始められる点が魅力です。
非課税効果を得られる
新NISAの最大の魅力は、なんと言っても非課税です。通常の投資では、利益に対して20.315%の税金がかかりますが、新NISA口座を利用すればこの税金が一生涯かかりません。そのため、投資期間や投資額が大きくなればなるほど節税効果を高められます。
長期的な資産運用ができる
新NISAでは非課税保有期間が無期限化されたため、ライフスタイルに合わせた長期的な運用が可能となりました。フリーランスは、会社員と異なり退職金や企業年金などに頼ることができません。新NISAを活用して長期運用しながら資産を形成することで、将来の不安を減らせます。
投資判断や運用が簡単にできる
つみたて投資枠を活用することで、自動的に資産を形成する仕組みが作れるため、自分で投資のタイミングを判断したり、運用を行う必要がありません。つみたて投資枠では「投資する商品」「積み立ての頻度(毎月など)」「積み立てる額」を決めて設定すれば、その後は自動的に買い付けが行われます。
そのため、相場を気にすることなく継続的に投資を続けられ、投資の知識が少ない方でも手間をかけずにコツコツと資産を増やしていくことが可能です。
いつでも現金化できる
新NISAでは、投資資金の出し入れがいつでもできるため、急な出費にも対応できます。新NISAと同様に、長期の積立投資で税制優遇を受けられる資産形成手段として、iDeCoや小規模企業共済がありますが、途中解約ができなかったり、20年以内に解約すると元本割れのリスクがあります。
フリーランスとして働く以上、資金繰りが厳しくなり、急に現金が必要になることもあります。その点、いつでも現金化できる新NISAは、フリーランスにとって柔軟に活用しやすい投資手段です。
確定申告をしなくても良い
新NISA口座内で発生した利益は、確定申告が不要です。投資における確定申告は「運用益にかかる税金が発生した時」のみ必要になります。一般口座や特定口座で得た利益は課税対象なので、確定申告を行うようにしましょう。
フリーランスが新NISAで投資を行う3つのデメリット
新NISAは、メリットの方が大きい制度ですが、デメリットもあります。以下で説明します。
他の口座と「損益通算」ができない
新NISA口座では他の口座と、一年分の利益と損失を相殺し税金を減らすことができる「損益通算」ができません。つまり、一般口座や特定口座で利益が出ても、新NISA口座で出した損失と相殺できないため、損失を有効活用できません。
元本割れの可能性がある
つみたて投資枠で投資できる商品は、金融庁が認めた安定性の高い商品に限定されていますが、値動きが下振れしたときや、運用実績が悪いときには、元本割れになる可能性があります。投資は元本保証がなく、必ず利益が出るものではないため、投資リスクを考慮したうえで投資を行う必要があります。
掛金が所得控除の対象にはならない
フリーランスにとって所得控除を賢く活用することは重要ですが、新NISAは所得控除の対象になりません。新NISAでの税制優遇は「配当金」「分配金」「値上がり益」が非課税になることのみです。
新NISAを始めるには?
新NISA口座を開設するには、銀行や証券会社などの金融機関で手続きを行う必要があります。一般的には以下のステップで進みます。
STEP1:金融機関を選ぶ
自分に合った金融機関を選び、NISA口座を開設します。手数料や取扱商品、サービス内容を比較して選びましょう。
STEP2:投資商品を選ぶ
新NISA口座が開設できたら、次に投資する商品を選びます。リスクや運用方針に合わせて、株式や投資信託などを選びましょう。
STEP3:投資を開始
購入した投資商品を定期的にチェックしながら、運用していきます。特につみたて投資枠では、長期で積み立てを行い、じっくりと資産を育てることが重要です。
フリーランスが新NISAを活用した資産形成の3つのポイント
フリーランスが新NISAを活用して資産を形成する際に、以下の3つのポイントを考慮する必要があります。
長期投資をする
積立投資を活用して長期投資を行うことで「複利効果」により元本割れのリスクを抑えながら資産を増やしていけます。複利効果とは、投資で得た利益を再び投資に回すことで、利益が利益を生む仕組みのことです。この効果によって、雪だるま式に資産を増やしていくことが可能になります。
分散投資をする
投資をする際には、分散投資をすることが重要です。分散投資には「資産分散」と「時間分散」の2種類があります。それぞれを分散することで、価格変動や元本割れのリスクを抑えられ、安定的にリターンを得られる可能性が高まります。
資産分散
1つの商品に投資を行うと価格が暴落したときに甚大な被害をこうむります。しかし、値動きが異なる複数の商品(国内/海外、債券/株式/不動産など)に分散投資を行うことで、1つの価格が暴落しても他の商品で大幅な下落を防げます。
時間分散
毎月一定額を積み立てて、購入時期を分散させることで、価格変動リスクを抑えられます。つまり「価格が安いときは多く、高いときは少なく買う」仕組み(ドル・コスト平均法)が働き、投資期間が長くなるほど平均購入単価が平準化され、価格変動の影響を受けにくくなります。
投資目標を明確にする
新NISAで投資を始める際、まずは「使い道」や「目標金額」などの投資目標を明確にしましょう。投資目標を明確にすることで次のものを適切に判断できます。
- 投資期間
- 運用方法
- リスク許容度
- 投資金額
自分に適した投資をするためには、最初に投資目標をしっかり決めて、資産状況を考慮しながら投資判断を行うことが重要です。
まとめ
新NISAは、投資を始めたい人にとって非常に有利な税制優遇制度です。特にフリーランスは収入が不安定になりやすいため、計画的な資産形成が重要になります。新NISAを活用すれば、非課税の恩恵を受けながら、少額から無理なく資産運用ができるため、将来の備えとして適した制度といえます。
中でもつみたて投資枠を活用すれば、長期的な資産形成が期待できるのが大きな魅力です。
新NISAを上手に活用し、将来の資産形成を始めてみましょう!