公開日
2025/09/12更新日
2025/09/30
                                はじめに:あなたの職務経歴書は「最強の営業ツール」ですか?

フリーランスエンジニアにとって、職務経歴書は単なる経歴の羅列ではありません。あなたという商品を売り込み、高単価案件を獲得するための「最強の営業ツール」です。
魅力的な職務経歴書は、
- 書類選考の通過率を劇的に上げる
 - スキルや経験を正しく伝え、単価交渉を有利に進める
 - 希望するプロジェクトに参画できる可能性を高める
 
といった強力な武器になります。
しかし、多くのエンジニアが「何を書けばいいかわからない」「自分の強みをどうアピールすればいいか悩む」といった課題を抱えています。
この記事では、数多くのエンジニアの職務経歴書を添削してきた知見を基に、クライアントやエージェントの目に留まり、「この人と仕事がしたい!」と思わせる職務経歴書の書き方を、具体的な例文を交えながら徹底解説します。
この記事を最後まで読めば、あなたの職務経歴書は、案件獲得のための強力な武器へと生まれ変わるでしょう。
1. なぜ重要?クライアントが職務経歴書から見抜こうとしている3つのこと

まず理解すべきは、クライアントやエージェントが何を知りたいかです。彼らは単に技術スタックを見ているわけではありません。以下の3つのポイントから、「プロジェクトに貢献してくれる人材か」を判断しています。
- 専門性と即戦力性 (Technical Skills & Experience)
- 募集しているポジションに必要な技術スキルを保有しているか?
 - 類似プロジェクトの経験があり、すぐに活躍してくれそうか?
 - 課題に対して、自律的に技術選定や実装を進められるか?
 
 - 課題解決能力と自走力 (Problem-Solving & Self-Motivated)
- 指示待ちではなく、自らプロジェクトの課題を見つけ、解決策を提案・実行できるか?
 - 過去の経験で、どのような課題をどう乗り越えてきたか?
 - ビジネス的な視点を持ち、サービスの成長に貢献できるか?
 
 - コミュニケーション能力 (Communication Skills)
- チームメンバーやステークホルダーと円滑に連携できるか?
 - 複雑な技術仕様を分かりやすく説明できるか?
 - 報告・連絡・相談が適切に行えるか?
 
 
これらのポイントを意識し、職務経歴書全体でアピールすることが、案件獲得の鍵となります。
2. 【基本構成】これを押さえればOK!職務経歴書の必須項目
まずは職務経歴書の骨格となる基本構成を理解しましょう。フォーマットは「逆編年体式(新しい経歴から順に書く)」が、直近のスキルが分かりやすいためフリーランスには最もおすすめです。
| 項目 | 内容 | 
| 日付・氏名 | 提出日と氏名を右上に記載 | 
| 職務要約 | 3〜5行程度で自身の強みや経験をまとめたダイジェスト | 
| スキル要約 | 保有スキル(言語、FW、DB、クラウド等)をカテゴリ分けして記載 | 
| 職務経歴 | プロジェクト単位で、担当業務や実績を具体的に記載(最重要項目) | 
| 自己PR | 職務経歴で伝えきれなかった強みや仕事への姿勢をアピール | 
| その他 | GitHubアカウント、ポートフォリオサイト、ブログ、資格など | 
3.【最重要】ライバルと差がつく!プロジェクト経歴の最強フレームワーク
職務経歴の中で最も重要なのが、このプロジェクト経歴です。単に「〇〇を開発しました」と書くだけでは不十分。あなたの価値を最大限に伝えるための最強フレームワーク「PARモデル」を紹介します。
- P (Problem): プロジェクトの背景・課題
 - A (Action): 自身の役割・行動
 - R (Result): 行動による成果・実績
 
この3つの要素を意識して記述することで、あなたのスキルが「どのようにビジネスに貢献したか」を具体的に示すことができます。
悪い例
〇〇株式会社 ECサイト開発 期間: 2023年4月~2024年3月 担当:バックエンド開発 内容:PHP(Laravel)を用いて、商品一覧機能、カート機能、決済機能などを開発。
これでは、あなたが具体的に何をしたのか、どんな価値を提供したのかが全く伝わりません。
良い例(PARモデル適用)
〇〇株式会社 新規ECサイトのバックエンド開発 期間: 2023年4月~2024年3月
(P) 背景・課題: レガシーなシステムからの脱却と、今後の事業拡大を見据えたスケーラブルな新規ECサイトの構築が課題でした。特に、セール時のアクセス集中によるサーバーダウンが頻発しており、パフォーマンス改善が急務でした。
(A) 自身の役割・行動: バックエンド開発のリードとして、5名のチームを牽引。
- 技術選定: Laravel 10を採用し、モダンな開発環境を構築。
 - パフォーマンス改善: N+1問題を解消するクエリチューニングや、Redisを用いたキャッシュ戦略を導入。
 - 開発効率化: Dockerを用いた開発環境のコンテナ化を推進し、新メンバーのオンボーディング時間を50%削減。CI/CDパイプラインを構築し、デプロイを自動化。
 - 決済機能: Stripe APIを導入し、セキュリティの高い決済システムを短期間で実装。
 
(R) 成果・実績:
- サーバーダウンの撲滅: 導入後のセール期間中、サーバーダウンは0件に。
 - 表示速度の改善: 商品一覧ページの平均表示速度を2.5秒から0.8秒へ改善。これにより、離脱率が15%改善し、売上向上に貢献。
 - 開発サイクルの高速化: デプロイ頻度が週1回から1日複数回へ増加。
 
使用技術: PHP (Laravel 10), MySQL, Redis, AWS (EC2, RDS, S3), Docker, Nginx, Stripe API, Git
4. 【項目別】さらに魅力を引き出す書き方のコツ

PARモデルを軸に、各項目のブラッシュアップ方法を見ていきましょう。
① 職務要約:3秒で惹きつけるキャッチコピー
採用担当者が最初に目にする部分です。ここでは、あなたの「何ができるエンジニアなのか」が一瞬で伝わるように、強みと経験を3〜5行で凝縮します。
<例文>
約5年間、Web系開発企業にてバックエンドエンジニアとして従事した後、フリーランスとして独立。PHP(Laravel)を用いたWebアプリケーション開発を得意とし、特に大規模サービスのパフォーマンス改善や、0→1の新規開発における技術選定・アーキテクチャ設計に強みを持っています。クラウドはAWSを中心に実務経験が豊富で、インフラ構築からアプリケーション開発まで一気通貫で対応可能です。
② スキル要約:見やすく、分かりやすく
スキルは単に羅列するのではなく、カテゴリ分けして見やすく整理しましょう。経験年数や習熟度を併記すると、スキルレベルがより正確に伝わります。
<例文>
- 言語: PHP (7年), JavaScript/TypeScript (5年), Go (2年)
 - フレームワーク: Laravel (5年), Next.js (3年), Echo (2年)
 - データベース: MySQL (7年), PostgreSQL (3年), Redis (4年)
 - クラウド:
- AWS (5年): EC2, RDS, S3, Lambda, ECS, CloudFrontなど実務での構築・運用経験多数
 - GCP (2年): GAE, Cloud Run, BigQueryなど
 
 - その他: Docker, Kubernetes, Terraform, Git/GitHub, CI/CD(GitHub Actions)
 
③ 自己PR:自走力と貢献意欲をアピール
ここでは、職務経歴で伝えきれなかった人間性や仕事へのスタンスを伝えます。特にフリーランスに求められる「自走力」「コミュニケーション能力」「ビジネスへの貢献意欲」を、具体的なエピソードを交えてアピールしましょう。
<例文>
常に心がけているのは、単に実装するだけでなく「ビジネスの成功にどう貢献できるか」という視点を持つことです。前職のプロジェクトでは、エンジニアの立場から積極的にUI/UX改善案を企画側に提案し、ABテストを実施。結果としてコンバージョン率を5%向上させた経験があります。 また、技術情報のキャッチアップを日課としており、Qiitaやブログでの発信も積極的に行っています。貴社プロジェクトにおいても、これまでの経験で培った技術力と課題解決能力を活かし、事業の成長に貢献したいと考えております。
ソースコードは、エンジニアにとって最も雄弁な成果物です。GitHubアカウントは必ず記載しましょう。個人開発のプロダクトや、コントリビュート経験があれば、それは大きなアピールポイントになります。
5. これだけは避けたい!職務経歴書のNG例
- 抽象的な表現が多い: 「コミュニケーション能力が高い」「頑張りました」など、根拠のないアピールはNG。具体的なエピソードで示しましょう。
 - 技術の羅列になっている: スキル要約だけでなく、プロジェクト経歴で「その技術をどう使って、何を解決したか」まで書くことが重要です。
 - フォーマットが崩れている、誤字脱字がある: 基本的なドキュメント作成能力を疑われてしまいます。提出前に必ず見直しましょう。
 - ページ数が多すぎる/少なすぎる: 目安はA4用紙2〜3枚程度。長すぎず、短すぎず、要点を簡潔にまとめましょう。
 
まとめ:職務経歴書は「育てる」もの

フリーランスエンジニアの職務経歴書の書き方について解説しました。
- クライアントの視点(専門性・自走力・コミュニケーション)を意識する
 - プロジェクト経歴は「PARモデル」で具体的に記述する
 - スキルは経験年数や習熟度を添えて分かりやすく
 - GitHubアカウントでコードの質を示す
 
これらを実践するだけで、あなたの職務経歴書は劇的に改善されるはずです。
そして最も大切なことは、職務経歴書は一度作って終わりではないということです。新しいプロジェクトを経験するたび、新しいスキルを習得するたびに内容を更新し、常に最高の状態に「育てて」いきましょう。
この最強の営業ツールを手に、あなたが理想のキャリアを歩んでいかれることを願っています。
          


        
        
    
                        
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