公開日
2026/01/02更新日
2026/10/21
フリーランスエンジニアが地方に移住しても、仕事は続けられます。ただし、地方で通える案件は少なく、フルリモート案件を取れるかどうかで決まります。
この記事では、テックスペースの募集中案件のリモート頻度・言語別のフルリモート比率・都道府県別の件数と、案件メールに書かれた「地方在住可・不可」の実例を紹介します。2026年度の移住支援金の条件と、移住前後の手続きの一覧もまとめました。
結論:地方から受けやすいのはフルリモート案件
テックスペースの案件データ(2026年10月20日時点)から見える「地方から受けられる案件」の現実は、次の3つです。
| 見るポイント | 数字 | 意味 |
|---|---|---|
| フルリモート(100%)の案件 | 募集中7,210件のうち688件(9.5%) | 地方在住で選べるのは、ほぼこの1割 |
| 勤務地が東京都の案件 | 5,464件(募集中7,364件の74.2%) | 通勤前提の案件は東京に集中している |
| 東京圏(1都3県)以外が勤務地の案件 | 合計344件(同4.7%) | 地方で通える案件は少ない |
※募集中の件数は同じ日でも更新で増減します。上の表は、フルリモートの件数が朝の集計(7,210件)、勤務地の件数が夕方の集計(7,364件)です。
「地方で暮らしながら、東京の案件にフルリモートで参画する」のが現実的な形です。移住を決める前に、自分のスキルでフルリモート案件がどれだけあるかを確かめておきましょう。
コスモくんポイント地方移住は「住む場所」より先に「フルリモート案件を取れるか」を確認するのがポイントだよ!
テックスペースの案件データで見る「地方から受けられる案件」
リモート頻度別の件数
募集中の案件を、出社の頻度で分けた件数です(2026年10月20日夕方、募集中7,364件。各リモート頻度ページの件数)。
| リモート頻度 | 件数 | 割合 | 地方在住での受けやすさ |
|---|---|---|---|
| フルリモート(100%) | 702件 | 9.5% | 受けやすい |
| 週1出社 | 826件 | 11.2% | 近県なら検討できる。遠方は交通費が重い |
| 週2〜3出社 | 1,431件 | 19.4% | 現地に通える人向け |
| 週4出社 | 242件 | 3.3% | 現地に通える人向け |
| 週5出社 | 3,983件 | 54.1% | 現地に住む人向け |
半分以上は週5出社です。リモートの案件でも、多くは「週に何日か出社する」形です。
言語・スキル別のフルリモート比率
フルリモートの割合は、言語によって大きく違います。各言語ページの「働き方」の集計です(2026年10月20日時点)。
| 言語・スキル | 集計対象の案件 | フルリモート | 割合 | フルリモート+週1出社の割合 |
|---|---|---|---|---|
| Ruby | 90件 | 25件 | 27.8% | 47.8% |
| Go | 84件 | 23件 | 27.4% | 46.4% |
| Salesforce | 250件 | 54件 | 21.6% | 36.4% |
| Kotlin | 130件 | 28件 | 21.5% | 38.5% |
| TypeScript | 591件 | 118件 | 20.0% | 35.9% |
| PHP | 322件 | 63件 | 19.6% | 28.9% |
| GCP | 305件 | 56件 | 18.4% | 35.4% |
| React | 452件 | 81件 | 17.9% | 31.4% |
| Python | 773件 | 112件 | 14.5% | 28.5% |
| AWS | 1,742件 | 248件 | 14.2% | 29.6% |
| Azure | 672件 | 73件 | 10.9% | 24.3% |
| SAP | 315件 | 34件 | 10.8% | 23.8% |
| C# | 463件 | 42件 | 9.1% | 16.0% |
| Java | 1,535件 | 103件 | 6.7% | 16.9% |
| COBOL | 385件 | 10件 | 2.6% | 9.6% |
Web系の言語(Ruby、Go、TypeScript など)はフルリモートの割合が高めです。一方、Java・C#・COBOLのような業務システム系は、出社が前提の案件が多くなります。
件数で見ると、AWS(248件)、TypeScript(118件)、Python(112件)、Java(103件)はフルリモート案件が100件を超えています。割合は低くても、件数が多い言語なら選択肢は残ります。
勤務地の都道府県別件数
勤務地として登録されている都道府県の件数です(2026年10月20日夕方)。
| 都道府県 | 件数 |
|---|---|
| 東京都 | 5,464件 |
| 神奈川県 | 517件 |
| 大阪府 | 135件 |
| 千葉県 | 101件 |
| 埼玉県 | 92件 |
| 愛知県 | 42件 |
| 兵庫県 | 33件 |
| 北海道 | 32件 |
| 宮城県 | 20件 |
| 福岡県 | 16件 |
| 茨城県 | 15件 |
| そのほかの県 | 合計51件(0件の県も多い) |
大阪・愛知・福岡のような大都市圏でも、通える案件は東京の数十分の1です。移住先で常駐の案件を探すより、フルリモートで東京の案件を続けるほうが選択肢は多くなります。
フルリモートでも単価は下がりにくい
「地方からリモートで受けると単価が下がるのでは」と心配する人もいます。テックスペースに取り込んだ案件(2025年12月、単価の記載がある案件)で、単価の上限を比べると次のとおりでした。
| リモート比率 | 件数 | 単価(上限)の中央値 |
|---|---|---|
| フルリモート(100%) | 39件 | 月70万円 |
| 一部リモート(20〜80%) | 44件 | 月70万円 |
| 出社(0%) | 153件 | 月68万円 |
件数が少ないので目安ですが、フルリモートだから単価が低いという傾向は見られませんでした。単価はリモートかどうかより、スキルと経験で決まります。
「フルリモート」でも地方在住NGの案件がある
案件の条件に「地方在住可」「地方不可」と書かれていることがあります。テックスペースが受け取った案件メール約1,000件分(2026年3月)を調べると、地方在住の可否に触れた記載は47件ありました(同じ文面は1件として数えています)。
| 記載 | 件数 | 例 |
|---|---|---|
| 地方在住でも可 | 27件 | 「フルリモート(地方可)」「PC貸与、地方歓迎」「地方可(PC郵送対応可)」 |
| うち条件付き | 12件 | 「初日出社の旅費交通費は所属負担」「月1回の出社にご対応いただける場合は地方在住者も可」「緊急時の交通費、宿泊費はお客様側では負担しません」 |
| 地方在住は不可 | 20件 | 「基本リモート(地方不可)」「緊急時出社が可能な方を希望/地方NG」「初期現地常駐必須のため」 |
「基本リモート」と書いてあっても、地方在住は不可という案件があります。いざという時に出社できる距離に住んでいることが条件になっているためです。
フルリモートの案件でも、初日だけPCの受け取りやセットアップで出社する例が多く見られました。「初日〜1週間は出社」「慣れるまで出社」という書き方もあります。
応募前に確認したいこと
- 地方在住でも応募できるか
- 初日・初週・参画当初に出社があるか。あるなら何日か
- 出社するときの交通費・宿泊費は誰が負担するか(単価に含むのか)
- PCは郵送で受け取れるか
- 障害対応などで急に出社を求められることがあるか
- 回線の条件があるか(「光回線推奨」「通信容量の上限のある回線は不可」と書く案件もある)
コスモくん注意「基本リモート」は「地方OK」とは限らないよ。初日出社や交通費の負担は、応募前に確認してね。
移住支援金(2026年度)の条件と金額
国の「地方創生移住支援事業」は、東京23区に住んでいた人や通勤していた人が地方へ移住し、就業・起業などをしたときに、移住先の自治体が支援金を出す制度です。国が都道府県に交付金を出し、市町村から移住者に支給されます(内閣府 地方創生「起業支援金・移住支援金」)。
国の制度の枠組み
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 移住元 | 移住直前の10年間で通算5年以上、かつ直近1年以上、東京23区に住んでいた、または東京圏(条件不利地域を除く)から23区へ通勤していた |
| 移住先 | 東京圏以外の道府県、または東京圏の条件不利地域で、移住支援事業を実施している市町村 |
| 移住後の要件 | 次のどれか1つ。地域の中小企業などへの就業(都道府県のマッチングサイトに載った求人など)/テレワークで移住前の業務を続ける/関係人口(市町村が独自に定める)/起業(起業支援金の交付決定を1年以内に受けている) |
| 金額 | 世帯は最大100万円、単身は最大60万円。18歳未満の子どもを連れて移住すると、1人につき最大100万円を加算 |
| 申請 | 転入後1年以内に、移住先の市町村へ |
| 居住 | 申請後5年以上住み続ける意思があること。早く転出すると返還がある |
金額は「最大」で、実際の額は自治体が決めます。たとえば札幌市の2026年度は、単身30万円・世帯60万円・子ども1人につき10万円の加算です(札幌市 令和8年度 移住支援金)。
会社員として23区外から通勤していた期間は、雇用保険の被保険者としての通勤に限られます。フリーランスとして23区内に住んでいた期間は「在住」として数えられます。23区外に住みながらフリーランスとして23区に通っていた場合の扱いは、移住先の自治体に確認してください。
テレワーク要件は自治体ごとに違う
フリーランスエンジニアが使えそうなのは「テレワークで移住前の業務を続ける」要件です。ただし、この要件を設けるかどうかは自治体の任意です(内閣府・内閣官房「地方創生移住支援事業について」令和8年1月)。2026年度は、自治体によって扱いが分かれています。
| 自治体(例) | 2026年度のテレワーク要件 | 確認できたこと |
|---|---|---|
| 札幌市 | 廃止 | 2025年度からの変更点として「テレワーク要件の廃止」と「関係人口要件の拡充」を挙げている |
| 広島市 | あり | 個人事業主・フリーランス向けの「就業証明書(テレワーク)」様式があり、直近3か月の就労実績を書く。ただし予算の上限に達し、2026年度の受付を停止中(2026年8月25日更新) |
| 神奈川県(真鶴町・湯河原町) | あり | 2026年8月17日以降の転入が対象。週20時間以上のテレワークなどが条件 |
| 大阪府 | 事業なし | 2025年度の時点で、移住支援事業を実施していない |
テレワーク要件の中身は、多くの自治体で次のように書かれています(神奈川県、広島市)。
- 移住先でテレワークにより働き、原則として恒常的に通勤しない
- 週20時間以上テレワークをする
- 所属先企業などからの命令ではなく、自分の意思で移住し、移住元での業務を続ける
文面は会社員を前提にしています。フリーランスが対象になるか、どの書類で証明するかは自治体で違います。
申請前に確認すること
- 移住先の市町村が、2026年度の移住支援事業を実施しているか(実施自治体の一覧)
- テレワーク要件があるか。フリーランス(個人事業主)も対象か
- 証明書類は何か(就業証明書の様式、業務委託契約書、直近の就労実績など)
- 転入日の条件(「交付決定の後に転入した人」に限る自治体がある)
- 予算の残り(上限に達すると年度の途中でも受付を止める)
- 転出したときの返還(例:3年未満は全額、3年以上5年以内は半額)
受け取った移住支援金は一時所得にあたり、確定申告が必要になる場合があります(結城市 移住支援金制度のご案内)。確定申告の流れはフリーランスの確定申告ガイドで紹介しています。
コスモくんポイント移住支援金は自治体ごとに条件が違うよ。引っ越す前に、移住先の窓口へ「フリーランスでも対象か」を聞いておこう。
移住前後の手続き一覧(フリーランスの場合)
| 手続き | いつまで | どこで・何を |
|---|---|---|
| 転出届・転入届 | 転入届は引っ越した日から14日以内 | 旧住所と新住所の市区町村。マイナンバーカードがあれば転出届はオンラインでも出せる |
| 国民健康保険 | 引っ越した日から14日以内 | 旧住所で資格を喪失し、新住所の市区町村で加入する。転出・転入届と一緒に手続きできる |
| 国民年金 | マイナンバーと基礎年金番号が結びついていれば、住所変更の届出は原則不要 | 結びつきは「ねんきんネット」や年金事務所で確認できる(日本年金機構) |
| 所得税・消費税の納税地 | 届出は不要。次の確定申告書に新しい住所を書く | 年の途中で税務署からの書類の送付先を変えたいときは「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する申出書」を新しい納税地の税務署へ出せる(任意) |
| 事務所の移転 | 移転した年分の確定申告期限まで | 自宅以外に事務所を届け出ている場合など、事務所を移したら「個人事業の開業・廃業等届出書」を出す(国税庁 A1-5) |
| 振替納税 | 手続き不要 | 管轄の税務署が変わっても続けて使える。口座を変えるときは依頼書を出し直す |
| 個人事業税 | 都道府県ごとに違う | 新しい都道府県の税事務所に、事業開始・移転の申告が必要か確認する |
| 住民税 | — | その年の1月1日に住んでいた市区町村から1年分が課税される。年の途中で移住しても、その年度は旧住所の市区町村に納める |
| 取引先・エージェントの登録情報 | 引っ越し後すぐ | 契約書・請求書の住所、エージェントの登録住所を変える |
所得税の手続きは、国税庁の「No.2091 個人事業者の納税地等に異動があった場合の届出関係」にまとまっています。開業届をまだ出していない人は、開業届の書き方を見てください。
インボイスの登録番号は、引っ越しても変わりません。個人の住所は公表サイトに載らないため、変更の届出も通常は要りません。ただし、事務所の所在地を公表する申出をしている場合は、公表内容の変更の申出が必要です(国税庁 インボイス公表サイト よくある質問 1-10)。
移住先を選ぶときのチェックポイント
回線は物件ごとに確認する
光ファイバの世帯カバー率は99.84%です(2023年3月末、総務省 令和7年版 情報通信白書)。ほぼ全国で光回線は引けますが、物件によっては工事ができなかったり、開通まで時間がかかったりします。
- 契約前に、物件の住所で光回線が使えるか、回線事業者の提供エリア検索で調べる
- 開通工事の日程を、参画開始日から逆算して早めに予約する
- 回線が止まったときのために、モバイル回線(テザリング)を用意する
自宅の作業環境の整え方は、フリーランスエンジニアのリモートワーク環境で紹介しています。
東京までの移動時間と交通費を見積もる
初日出社や月1回の出社がある案件は、交通費を自分で負担することが多くあります。往復の交通費を単価から引いて考えると、判断を誤りにくくなります。
たとえば往復3万円かかる場所に住み、月1回出社する案件なら、年36万円の持ち出しです。月70万円の案件でも、実質は月67万円で働く計算になります。
支援金の対象地域かを先に調べる
同じ県でも、市町村によって移住支援事業を実施していないことがあります。家を決める前に、実施自治体の一覧と市町村の募集要項を確認しておきましょう。
よくある質問
地方に住んでいても高単価の案件に参画できますか?
できます。フルリモート案件は688件あり(2026年10月20日朝時点)、テックスペースの取り込みデータでは、フルリモート案件の単価の中央値は出社の案件と大きく変わりませんでした。ただし、地方在住を不可としている案件もあるので、応募前に確認が必要です。
フリーランスでも移住支援金はもらえますか?
自治体によります。テレワーク要件を設けていて、フリーランスも対象にしている自治体なら申請できる可能性があります。2026年度は札幌市のようにテレワーク要件を廃止した自治体もあるため、移住先の窓口で確認してください。
移住してから案件を探しても大丈夫ですか?
先に案件を決めてから移住するほうが安全です。今の案件を続けるなら、地方に移っても契約を続けられるか、出社の条件が変わらないかを先に取引先に確認しましょう。
地方在住だと面談で不利になりますか?
面談はWebで行う案件がほとんどです。不利になりやすいのは、緊急時の出社や参画当初の常駐を求める案件です。応募の段階で条件を確認しておけば、ミスマッチを防げます。
まとめ
- 地方から受けやすいのはフルリモート案件。テックスペースでは募集中7,210件のうち688件(9.5%)
- フルリモートの割合は言語で差がある。Ruby・Goは約3割、Javaは約7%、COBOLは約3%
- 「基本リモート」でも地方不可の案件がある。初日出社・交通費・PCの受け取りを応募前に確認する
- 移住支援金は最大で単身60万円・世帯100万円。テレワーク要件の有無やフリーランスの扱いは自治体ごとに違う
- 納税地の届出は不要になったが、事務所の移転や個人事業税の手続きは忘れずに
コスモくんヒント地方からでも受けられる案件はフルリモート案件の一覧で探せるよ。条件を伝えて、画面右下のコスモくんに相談してみてね!




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