公開日
2026/03/25更新日
2026/10/21
「委託」は法律上の契約の名前ではなく、仕事を外部に頼むことの総称です。民法上の契約としては「請負」「委任」「準委任」の3つに分かれ、フリーランスエンジニアの案件はほとんどが準委任契約です。
この記事では、4つの言葉の違いを1つの表で整理し、テックスペースの案件データでわかる契約形態の実態と、契約前に確認したいチェックリストを紹介します。
委任と委託の違い
結論から言うと、「委任」は民法で定められた契約の種類で、「委託」は仕事を外部に任せること全般を指す言葉です。
| 委任 | 委託(業務委託) | |
|---|---|---|
| 法律上の位置づけ | 民法で定められた契約(民法643条) | 民法に「委託契約」という類型はない。実務上の呼び方 |
| 任せるもの | 法律行為(契約の締結、訴訟など) | 仕事全般 |
| 民法上の中身 | 委任そのもの | 請負・委任・準委任のどれか |
| 例 | 弁護士への訴訟の依頼 | システム開発、運用保守、デザイン、記事制作 |
つまり「業務委託契約」と書かれた契約書も、中身を見ると請負か委任(準委任)のどちらかにあたります。どちらにあたるかで、報酬が発生する条件や負う責任が変わります。
コスモくんポイント「業務委託」は契約の名前じゃなくて呼び方なんだ。中身が請負か準委任かを見るのがポイントだよ!
委任・準委任・請負とは
委任とは
委任は、契約の締結や訴訟など「法律行為」を相手に任せる契約です(民法643条)。弁護士に訴訟を依頼する、代理人に契約を結んでもらう、といった場面が代表例です。
- 任された人(受任者)は、専門家として通常求められる注意を払って仕事をする義務(善管注意義務)を負う(民法644条)
- 報酬は、特約がある場合に請求できる(民法648条)。ビジネスでは報酬を定めるのが普通
- 当事者はいつでも契約を解除できる。ただし、相手に不利な時期の解除などは損害賠償が必要になる場合がある(民法651条)
準委任とは
準委任は、法律行為ではない「事務」を任せる契約です。民法656条で、委任のルールがそのまま当てはまると定められています。
システムの開発支援、運用・保守、PMO、コンサルティングなど、フリーランスエンジニアの仕事の多くはここに入ります。完成した成果物ではなく、決められた業務を専門家として誠実に行うことに対して報酬が支払われます。
2020年4月施行の改正民法で、準委任の報酬には次の2つの型があることが明文化されました。
| 型 | 報酬の考え方 | よくある例 |
|---|---|---|
| 履行割合型 | 働いた時間・期間に応じて支払う | 月額単価の常駐・リモート案件 |
| 成果完成型 | 成果に対して支払う(民法648条の2) | 調査レポートの納品など |
請負とは
請負は、仕事の「完成」を約束し、完成した結果に対して報酬が支払われる契約です(民法632条)。Webサイト制作や、要件が固まったシステム開発の一括受注が代表例です。
- 完成しなければ、原則として報酬を請求できない
- 納品物が契約の内容に合っていない場合は、修補や代金減額などを求められる「契約不適合責任」を負う(2020年の民法改正前は「瑕疵担保責任」と呼ばれていた)
- 仕事の進め方は請け負った側に任される
請負と準委任の違い
フリーランスエンジニアが押さえておきたいのは、請負と準委任の違いです。
| 比べるポイント | 請負 | 準委任 |
|---|---|---|
| 契約の目的 | 仕事の完成 | 業務の遂行 |
| 報酬が発生する条件 | 完成・納品 | 業務を行ったこと(成果完成型は成果) |
| 完成の責任 | 負う | 負わない |
| 契約不適合責任 | 負う | 原則負わない |
| 負う義務 | 契約どおりに完成させる | 善管注意義務 |
| 仕事の進め方 | 請け負った側に任される | 受けた側の裁量(発注者が細かく指示するのはNG) |
| 途中解除 | 発注者は完成前ならいつでも解除できる(損害賠償が必要) | どちらからでも解除できる(不利な時期などは損害賠償) |
| 向いている仕事 | 要件・納期・品質基準が固まっている開発 | 要件が変わりやすい開発、運用・保守、PMO |
コスモくん注意準委任でも、発注者が作業の進め方や時間を細かく指示すると「偽装請負」と判断されるおそれがあるよ。指示を受けるのは、契約で決めた窓口からにしてね。
フリーランスエンジニアの案件はほとんどが準委任
テックスペースに取り込んだ案件データ(2025年12月時点、491件)のうち、契約形態が書かれていた301件を数えると、次のとおりでした。
| 契約形態 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 準委任(「業務委託(準委任)」「SES」を含む) | 298件 | 99.0% |
| 派遣 | 3件 | 1.0% |
| 請負 | 0件 | 0% |
月額単価で稼働する案件は、ほぼすべて準委任(履行割合型)と考えてよいでしょう。準委任の案件では、次の3点が収入に直結します。
- 月額単価:1か月あたりの報酬
- 精算幅:単価に含まれる稼働時間の範囲(例:140〜180時間)。テックスペースの案件ページでは「精算時間」の欄に載っている
- 超過・控除単価:精算幅を超えたとき・下回ったときに、1時間あたりいくら増減するか
コスモくん注意単価が同じでも、精算幅や控除単価しだいで手取りが変わるよ。契約前に必ず数字で確認してね。
契約前に確認したいチェックリスト
案件の契約書や注文書を受け取ったら、次の項目を確認しましょう。
- 契約形態が請負か準委任か(「業務委託」とだけ書かれていないか)
- 業務の範囲(担当する工程、作業内容)
- 月額単価、精算幅、超過・控除単価
- 支払期日(フリーランス新法では、役務の提供を受けた日から60日以内に設定する決まり)
- 契約期間、更新の方法、解除の予告期間
- 作業の指示を誰から受けるか
- 成果物の著作権などの権利がどちらのものになるか
- 秘密保持、再委託の可否
フリーランス新法で、発注者に義務ができた
2024年11月1日に施行された「フリーランス・事業者間取引適正化等法」(フリーランス新法)で、フリーランスに仕事を発注する事業者には、次のような義務ができました。
- 業務内容、報酬額、支払期日などの取引条件を、書面やメールなどで明示する
- 報酬の支払期日を、役務の提供を受けた日から60日以内のできるだけ短い期間で設定し、期日までに支払う
口頭だけで話が進んでいる場合は、条件を文書で出してもらうよう依頼しましょう。
よくある質問
業務委託とフリーランスの違いは?
業務委託は契約の呼び方、フリーランスは働き方の呼び方です。フリーランスは、企業と業務委託契約(請負や準委任)を結んで仕事をします。詳しくは業務委託とフリーランスの違いで解説しています。
委任と代理の違いは?
委任は「仕事を任せる契約」、代理は「本人に代わって契約などをし、その効果を本人に生じさせる権限」のことです。委任契約を結ぶときに、あわせて代理権を与えることがよくあります。
SES契約は請負と準委任のどちら?
一般的には準委任契約です。技術者が客先で作業していても、作業の指示はSES企業の側から出すのが原則です。
準委任でも成果物の納品を求められることはある?
あります。報酬を「成果完成型」にした準委任では、成果に対して報酬が支払われます。ただし、請負とは違って完成そのものを約束する契約ではありません。契約書で報酬の型を確認しましょう。
まとめ
- 「委託」は総称で、民法上は請負・委任・準委任のどれかにあたる
- 委任は法律行為、準委任はそれ以外の事務を任せる契約。エンジニアの仕事は準委任が中心
- テックスペースの案件データでは、契約形態の記載がある案件の99%が準委任
- 準委任の案件では、単価に加えて精算幅と超過・控除単価を確認する
コスモくんヒントテックスペースの案件ページには「契約形態」「精算時間」「支払いサイト」が載っているよ。募集中の案件一覧で条件を見比べて、気になる案件には無料の会員登録をしてエントリーしてね!




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