公開日
2026/04/11更新日
2026/10/21
迷ったら、長期案件を土台にして、短期案件は目的があるときに選ぶのが現実的です。テックスペースの募集中案件を数えると、終了時期が3か月以内と書かれた案件は4.3%しかなく、単価も長期と変わりませんでした。
この記事では、募集中案件624件の契約期間を数えたデータ、長期・短期の比較表、フリーランス法の「30日前予告」のルール、面談で聞くことのチェックリストを紹介します。
結論:長期案件を土台に、短期案件は目的で選ぶ
長期案件と短期案件は、どちらが上というより役割が違います。
| 長期案件 | 短期案件 | |
|---|---|---|
| 主な役割 | 毎月の収入の土台 | 経験の幅を広げる、空いた期間を埋める |
| 向いている人 | 独立して1〜2年目、収入を安定させたい人 | 特定の技術・工程を経験したい人、次の予定が決まっている人 |
| 気をつける点 | スキルが現場に固まる、単価が据え置かれやすい | 案件と案件のあいだの空白、案件探しの手間 |
テックスペースの募集中案件では、短期と明記された案件はほとんどありません。短期案件を探すより、長期案件の中から合う現場を選び、更新のたびに続けるか決めるほうが選択肢は広がります。
コスモくんポイント長期か短期かより「更新のたびに続けるか選べるか」がポイントだよ!
長期案件・短期案件とは?期間の目安
「長期」「短期」に決まった定義はありません。この記事では、次の目安で分けます。
| 呼び方 | 契約期間の目安 | よくある例 |
|---|---|---|
| 短期案件 | 3か月以内 | 移行・リリース前後の支援、調査・設計だけのフェーズ |
| 中期の案件 | 4〜6か月 | 開発の1フェーズ、年度末までの案件 |
| 長期案件 | 6か月を超える、または期間を区切らない | 運用保守、継続開発、大規模プロジェクト |
6か月を境にしたのは、フリーランス法で6か月以上続く業務委託に、契約を終えるときの予告義務がかかるためです(詳しくは後の「契約が終わるときのルール」で紹介します)。
長期案件でも、契約そのものは1〜3か月ごとの更新制のことがあります。「長期」は参画の見込みの長さで、1回の契約期間の長さとは限りません。
募集中624件の契約期間を数えたデータ(2026年10月20日時点)
テックスペースの募集中の案件一覧(取得時点で7,364件・737ページ)から、1ページ目と12ページごとのページ、最終ページの計63ページに載っていた624件の案件詳細を開き、「契約期間」の欄を数えました。
約4割が「長期」と明記
| 契約期間の書き方 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 「長期」と明記(「中長期」「長期予定」「年単位」などを含む) | 246件 | 39.4% |
| 開始時期のみ(「即日~」「10月~」など。終了時期の記載なし) | 273件 | 43.8% |
| 終了時期が書かれている | 102件 | 16.3% |
| 記載なし | 3件 | 0.5% |
- 「長期」と明記した案件は約4割。開始時期だけの案件も含めると、8割以上が終わりを決めていない
- 「短期」と書かれていたのは1件だけ(「12月までの短期となる可能性あり」)
- 開始時期は「即日」を含むものが132件(21.2%)。新しく載った50件では、46件が即日〜翌月の開始だった
以前に数えた159件のサンプル(ストック収入の記事で紹介)でも、「長期」と明記した案件は39.6%でした。今回の624件でもほぼ同じ割合です。
終了時期がある102件の長さ
終了時期が書かれた102件について、開始月から終了月までの長さを数えました(「即日~」は2026年10月開始として計算)。
| 契約期間の長さ | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 3か月以内 | 27件 | 26.5% |
| 4〜6か月 | 43件 | 42.2% |
| 7〜12か月 | 22件 | 21.6% |
| 13か月以上 | 10件 | 9.8% |
- 期間の真ん中(中央値)は5か月。年度末(2027年3月)で区切る案件が多い
- 102件のうち50件(49.0%)に、「延長の可能性あり」「後続案件へのスライドあり」など続く前提の書き方がある
- 3か月以内の案件は、624件全体の4.3%(27件)
単価は長期と短期で変わらない
同じ624件で、単価が書かれた案件の上限額を比べました(月額)。
| 契約期間の書き方 | 単価明記 | 単価の中央値 | 月71万円以上の割合 | フルリモート(100%)の割合 |
|---|---|---|---|---|
| 「長期」と明記 | 214件 | 65万円 | 21.0% | 9.3% |
| 終了時期が書かれている | 77件 | 65万円 | 16.9% | 7.8% |
| うち3か月以内 | 21件 | 65万円 | — | — |
| 開始時期のみ | 209件 | 70万円 | 36.4% | 13.6% |
| 全体 | 501件 | 65万円 | 26.7% | 11.1% |
「短期案件は単価が高い」という話を見かけますが、このデータでは長期と短期の中央値は同じ65万円でした。3か月以内は21件と少ないので、目安として見てください。単価の相場と上げ方は、フリーランスエンジニアの単価相場と上げ方で言語別に紹介しています。
更新の単位はほとんど書かれていない
「初回1か月」「3か月ごとに更新」など、1回の契約期間や更新の単位まで書かれていたのは、624件中11件(1.8%)でした。
- 「長期」と明記した案件にも、「初回1か月契約」「初回契約は2か月」「1か月ごとの契約更新」と書かれたものが4件ある
- 更新の単位は、募集ページを見てもほぼわからない。面談か契約書で確認する
コスモくん注意「長期」と書いてあっても、契約は1〜3か月ごとの更新のことがあるよ。初回の期間と更新の単位は面談で聞いてね。
長期案件のメリット・デメリット
メリット
- 毎月の収入の見通しが立つ:単価と精算幅が決まっていれば、月の報酬がほぼ読める
- 案件探しの回数が減る:応募・面談・契約の手間が、更新のときだけになる
- 現場の信頼が積み上がる:業務や体制を理解するほど、任される範囲が広がりやすい
- 契約終了のルールで守られやすい:6か月以上続くと、契約を終えるときに原則30日前の予告が必要になる
デメリット
- スキルが現場に固まりやすい:同じ技術・同じ工程を続けると、次の案件で書ける経験が増えにくい
- 単価が据え置かれやすい:更新のたびに同じ条件で続くことが多い
- 合わない現場から抜けにくい:途中で終えると、取引先との関係に影響することがある
単価は、更新のタイミングで担当範囲の広がりを根拠に相談できます。交渉の例文は単価相場と上げ方にまとめています。
短期案件のメリット・デメリット
メリット
- 経験の幅が広がる:移行、リリース前後、調査・設計など、特定の工程を短く経験できる
- 合わなければ区切りで終われる:終了時期が決まっているので、次の予定が立てやすい
- 空いた期間を埋められる:次の長期案件が始まるまでのつなぎにできる
デメリット
- 空白期間が出やすい:新しく載った案件の9割は即日〜翌月の開始。終了日にぴったり合わせて次を決めるのは難しい
- 案件探しの手間が増える:応募・面談・契約・入場手続きを何度もくり返す
- 見つけにくい:3か月以内の案件は、募集中のサンプルの4.3%しかない
- 30日前予告の対象外になりやすい:6か月未満で終わる契約には、フリーランス法の予告義務がかからない
短期の仕事を本業と並行するなら、時間単価の保守やスポットの依頼を足す形が組みやすくなります。組み合わせ方は複数案件の掛け持ちで計算例つきで紹介しています。
コスモくんポイント短期案件は「何を経験しに行くか」を決めてから選ぶと、次の職務経歴書に書けることが増えるよ!
長期案件と短期案件の比較表
| 比べる点 | 長期案件 | 短期案件(3か月以内) |
|---|---|---|
| 収入の安定 | 高い。更新が続くかぎり毎月入る | 低い。案件ごとに空白が出やすい |
| 単価(中央値・テックスペースのデータ) | 65万円 | 65万円 |
| 案件の見つけやすさ | 募集中の約4割が「長期」と明記 | 募集中の4.3% |
| 案件探しの手間 | 更新のときだけ | 2〜3か月ごとに応募・面談 |
| 経験の幅 | 狭くなりやすい | 広がりやすい |
| 単価を見直す機会 | 更新のとき | 新しい案件に入るとき |
| 契約終了の30日前予告 | 6か月以上続けば対象 | 対象外のことが多い |
契約が終わるときのルール(フリーランス法)
2024年11月1日に施行されたフリーランス・事業者間取引適正化等法(フリーランス法)では、6か月以上続く業務委託を発注側が終えるとき、原則として30日前までの予告が必要です(第16条)。長期と短期の違いが、ここで一番はっきり出ます。
30日前予告の対象になる条件
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 発注する側 | 従業員を使っている事業者、または役員が2人以上いる法人(特定業務委託事業者) |
| 受ける側 | 従業員を使っていない個人のフリーランス、または代表者1人だけの法人 |
| 期間 | 6か月以上の業務委託。更新して通算6か月以上になる場合も含む |
| 対象になる終わり方 | 途中での解除と、期間満了で更新しないことの両方 |
| 予告の方法 | 書面、FAX、電子メール等(SMSやチャットなど、記録を残せるもの)。口頭だけは不可 |
- 30日の数え方は、たとえば8月31日に終えるなら8月1日までに予告する(公正取引委員会 Q&A Q107)
- 更新で通算するのは、同じ相手と同じような業務を続け、契約と契約のあいだの空白が1か月未満の場合(同 Q64)
- 予告を受けた日から契約が終わる日までに求めれば、発注側は終える理由を開示する義務がある(第16条第2項)
3か月契約を1回更新して通算6か月になれば、更新しないときにも予告が必要になります。
予告がなくてもよい例外
厚生労働省令(施行規則第4条)で、次の場合は予告がいりません。
- 災害などで予告が難しい場合
- 発注側が上の会社から受けた仕事を再委託していて、上の契約が解除され、再委託した業務の大部分が不要になった場合など
- 更新をくり返している場合(または基本契約にもとづく場合)で、1回の契約期間が30日以下の契約を終えるとき
- フリーランス側の責任で、すぐに解除する必要がある場合
- 基本契約を結んでいて、フリーランス側の事情で長いあいだ発注がない場合
エージェント経由の案件は、エージェントがフリーランスと契約し、取引先の仕事を再委託する形が多くあります。上の取引先との契約が終わると、30日前の予告なしで終わることがあるので、商流は面談で確認しておきましょう。
自分から終えたいとき
フリーランス法の予告義務は、発注側にかかるものです。フリーランスから終えるときの期限は、契約書の解除の条項で決まります。
準委任契約は、民法上どちらからでもいつでも解除できます。ただし、相手に不利な時期に解除すると、やむを得ない事由がないかぎり損害賠償の対象になります(民法第651条・第656条)。契約書の予告期間を守り、更新のタイミングで伝えるのが確実です。契約の種類の違いは委任と委託の違いで整理しています。
コスモくん注意「30日前予告」は6か月以上続く契約の話。エージェント経由だと例外になることもあるから、商流は面談で確認してね。
予告なしで終了を告げられたなど、トラブルになったときは、弁護士に無料で相談できるフリーランス・トラブル110番があります。厚生労働省の就業環境整備のポイントもあわせて確認してください。
状況別の選び方
| 今の状況 | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| 独立して1年目、貯金が生活費の数か月分 | 長期案件 | 空白期間を避け、収入の土台をつくる |
| 経験が浅い技術・工程に入る | 長期案件(経験のある技術と組み合わせる) | 慣れる前に契約が終わるのを避ける |
| 職務経歴書に書ける経験を増やしたい | 長期案件を軸に、更新の区切りで現場を変える | 収入を保ちながら経験を足せる |
| 次の長期案件の開始が決まっている | 短期案件 | 開始までのつなぎにできる |
| 移行・リリースなど特定の工程を経験したい | 短期案件 | 工程単位で区切られた案件に入れる |
| 家庭の事情などで数か月後に稼働を減らす予定がある | 終了時期が決まった案件 | 終わりに合わせて予定を組める |
「長期案件で経験を積むと、スキルが固まる」という不安は、更新の区切りを使えば小さくできます。6か月や1年で一度ふり返り、続けるか、現場を変えるかを決めましょう。
次の案件探しは終了の1〜2か月前から
募集中の案件は、ほとんどが即日〜翌月の開始です。早すぎると開始時期が合わず、遅すぎると空白期間が出ます。
- 更新しないと決めたら、終了の1〜2か月前に案件探しを始める
- 今の取引先には、契約書の予告期間までに更新しない旨を伝える
- 職務経歴書は、今の案件の経験を書き足しておく(書き方は職務経歴書・スキルシートの書き方)
面談・契約前に確認すること
契約期間まわりは、募集ページだけではわからないことが多い項目です。面談か契約書で、次の点を確認しましょう。
- 想定の参画期間(「長期」なら、どのくらいの見込みか)
- 初回の契約期間と、更新の単位(1か月・3か月など)
- 更新するかどうかを、終了の何日前に知らせてもらえるか
- 自分から終えるとき、何日前に伝える必要があるか(解除の条項)
- 商流(エージェントが取引先から再委託を受けている形か)
- 終了後に、後続の案件やスライドの可能性があるか
- 単価を見直すタイミング(更新のときに相談できるか)
- 精算幅(月の稼働時間の下限・上限)と支払いサイト
契約期間、業務の内容、報酬の額と支払期日などは、フリーランス法で発注側が書面かメールで示すことになっています(第3条)。口頭だけで決まっている項目があれば、書面でもらいましょう。
よくある質問
長期案件はどのくらいの期間のこと?
決まった定義はありません。テックスペースの募集中案件では、終了時期を決めず「長期」と書く案件が約4割で、終了時期が書かれた案件の中央値は5か月でした。この記事では、6か月を超えるか、期間を区切らない案件を長期としています。
短期案件は単価が高い?
テックスペースの募集中案件では、単価の中央値は長期と明記した案件、終了時期がある案件ともに65万円でした。期間の長さより、技術・担当範囲・リモートの有無などで単価が変わります。
長期案件を途中でやめてもいい?
準委任契約は、法律上はいつでも解除できます。ただし、契約書の予告期間を守らないと、取引先との関係や損害賠償の問題になることがあります。やめたいときは、更新のタイミングで、契約書の期限までに伝えましょう。
3か月契約でもフリーランス法の30日前予告の対象になる?
1回の契約が3か月でも、同じ相手と更新して通算6か月以上になれば対象です。ただし、発注側が従業員を使っていない場合や、再委託の上流の契約が終わった場合などは対象外になります。
短期案件はどうやって探せばいい?
案件ページの「契約期間」で、終了時期が書かれた案件を探します。3か月以内の案件は少ないので、長期案件の中から合う現場を選び、更新の区切りで次を考える方法もあります。
テックスペースは会員登録しないと使えませんか?
案件の検索は登録なしでできます。案件に応募するときに、無料の会員登録(最短2項目)が必要です。
まとめ
- 迷ったら長期案件を土台に。短期案件は、経験したい工程やつなぎの期間など、目的があるときに選ぶ
- テックスペースの募集中624件では、約4割が「長期」と明記。3か月以内の案件は4.3%(2026年10月20日時点)
- 単価の中央値は、長期と明記した案件も終了時期がある案件も65万円
- 「長期」でも契約は1〜3か月ごとの更新のことがある。初回の期間・更新の単位・商流は面談で確認する
- 6か月以上続く契約を発注側が終えるときは、原則30日前の予告が必要。エージェント経由では例外もある
毎月の収入を止まりにくくする考え方は、ストック収入とは?でも紹介しています。
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