公開日
2026/04/03更新日
2026/10/21
複数案件の掛け持ちは、件数ではなく月の合計稼働時間で決めるのが基本です。目安は1本のフルタイム案件と同じ月160時間前後で、それを超える分は自分の時間を削ることになります。
この記事では、テックスペースの募集中案件100件の「稼働率」「精算時間」を数えたデータ、週3+週2などの組み合わせ別の稼働時間・収入の計算表、1週間のスケジュール例、契約前のチェックリストを紹介します。
結論:掛け持ちは「月の合計時間」で考える
掛け持ちを考えるときは、まず次の3つを決めます。
- 月に働く時間の上限(例:160時間)
- 案件ごとの稼働率(100%、60%など)と、その時間帯
- 各案件の契約で、他の仕事を受けることが制限されていないか
エンジニアの掛け持ちは、主に次の3つの形に分かれます。
| 形 | 中身 | 向いている人 |
|---|---|---|
| フルタイム案件+小さな案件 | 週5日の案件1本に、夜や土日の保守・スポット案件を足す | 収入を少し上乗せしたい人 |
| 週3+週2など、短い稼働の組み合わせ | 稼働率60%と40%の案件を曜日で分ける | 取引先を分散したい人、複数の技術領域に関わりたい人 |
| 週4+週1 | 稼働率80%の案件に、1日分の別案件を足す | メイン案件を軸にしつつ、別の経験も積みたい人 |
コスモくんポイント掛け持ちは「何件」じゃなくて「月に何時間」で考えるのがポイントだよ!まず上限の時間を決めよう。
テックスペースの募集中案件は稼働率100%がほとんど
100件中100件が稼働率100%(2026年10月20日時点)
テックスペースの募集中の案件一覧(取得時点で7,306件・731ページ)から、1・81・161・241・321・401・481・561・641・721ページ目に載っていた100件の案件詳細を開き、「稼働率」と「精算時間」の欄を数えました。
| 稼働率 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 100% | 100件 | 100% |
| 80% | 0件 | 0% |
| 60%以下 | 0件 | 0% |
| 精算時間 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 150-180h | 86件 | 86% |
| 150-200h | 7件 | 7% |
| 150-190h | 6件 | 6% |
| 150-170h | 1件 | 1% |
- サンプルの100件は、すべて稼働率100%(週5日のフルタイム相当)だった
- 精算時間の下限は全件が150時間。上限は180時間が86%
- 稼働率100%の案件を2本並行するのは、時間的に現実的ではない
エージェント経由の準委任案件だけで「週3+週2」を組むのは、案件の数から見て簡単ではありません。掛け持ちの軸は、フルタイム案件1本に小さな仕事を足す形か、稼働率を相談できる案件を探す形になります。
タイトルの「週3」は出社日数のことが多い
サイト内検索で「週3」と入れると、タイトルに「週3」を含む案件が41件見つかりました(2026年10月20日)。内訳は次のとおりで、41件とも稼働率は100% でした。
| タイトルの表記 | 件数 |
|---|---|
| 週3出社 | 32件 |
| 週3リモート・週3在宅・週3〜4リモートなど | 9件 |
「週3」は、週5日働くうちの出社日数やリモート日数を指していました。週3日だけ働く案件と思って応募すると、面談で前提がずれます。
コスモくん注意タイトルの「週3」は出社やリモートの日数のことが多いよ。働く日数は「稼働率」の欄で確認してね。
週3・週2で働きたいときの探し方
- 案件ページの「稼働率」欄を見る。100%以外の案件は少ないので、見つけたら早めに問い合わせる
- 稼働率100%の案件でも、80%などに下げられるかを面談で相談する。応じてもらえるかは案件しだい
- 2本目は、精算幅のある月額案件ではなく、時間単価の保守やスポットの仕事で探す
- 長く続く1本目を先に決めてから、2本目を足す。案件の選び方は長期案件と短期案件の選び方で比べています
組み合わせ別の稼働時間と収入の目安
月単価65万円の案件(テックスペースで最も多い61〜70万円帯の中ほど)を基準に、組み合わせごとの月の稼働時間と売上を計算しました。
| 組み合わせ | 月の稼働時間 | 週あたり | 月の売上(税抜) |
|---|---|---|---|
| 週5(100%)1本 | 160時間 | 40時間 | 65万円 |
| 週3(60%)+週2(40%) | 96時間+64時間=160時間 | 40時間 | 39万円+26万円=65万円 |
| 週4(80%)+週1(20%) | 128時間+32時間=160時間 | 40時間 | 52万円+13万円=65万円 |
| 週5(100%)+小さな案件 月20時間(時給4,000円) | 160時間+20時間=180時間 | 45時間 | 65万円+8万円=73万円 |
| 週5(100%)+週2(40%) | 160時間+64時間=224時間 | 56時間 | 65万円+26万円=91万円 |
計算の前提は次のとおりです。
- 稼働率100%を月160時間(1日8時間×20日)、1か月を4週として計算
- 稼働率が下がると、単価も同じ割合で下がると仮定。実際の単価は案件ごとの交渉で決まる
- 金額は売上で、税金・社会保険料・経費を引く前の額
この表からわかることは2つです。
- 週3+週2は、収入は週5の1本と同じになる。得られるのは取引先の分散で、収入の増加ではない
- 収入を増やせるのは、合計時間を増やすか、時給の高い案件に入れ替えたとき
時給に直して比べる
月単価を精算幅の時間で割ると、時給の目安が出ます。65万円の案件なら、160時間で約4,060円、180時間で約3,610円です。
2本目の案件の時給が1本目より低いなら、時間を足すより、1本目の単価を上げる交渉や案件の入れ替えのほうが効率が良いことがあります。
コスモくん注意週5+週2だと週56時間。会社員のような残業の上限はないから、続けられる時間かを自分で決めてね。
1週間のスケジュール例
週3+週2の場合
案件ごとに曜日を分けると、切り替えの手間が最も少なくなります。
| 曜日 | 9:00〜12:00 | 13:00〜18:00 | 他案件への連絡 |
|---|---|---|---|
| 月 | 案件A(定例・作業) | 案件A | 17:30〜18:00に案件Bのチャットを確認 |
| 火 | 案件A | 案件A | 同上 |
| 水 | 案件A | 案件A(週次報告) | 同上 |
| 木 | 案件B(定例・作業) | 案件B | 17:30〜18:00に案件Aのチャットを確認 |
| 金 | 案件B | 案件B(週次報告) | 同上 |
| 土・日 | 休み | 休み | 緊急時の連絡ルールだけ決めておく |
週5+小さな案件の場合
| 曜日 | 日中 | 夜 |
|---|---|---|
| 月〜金 | 案件A(9:00〜18:00) | 火・木の20:00〜22:00に案件B |
| 土 | 10:00〜13:00に案件B | 休み |
| 日 | 休み | 休み |
これで案件Bは週7時間、月28時間ほどです。案件Aの定例やリリースと重なる週は、案件Bの作業を土曜にまとめます。
時間管理のコツ
案件ごとに曜日か時間帯を固定する
1日の中で何度も案件を行き来すると、頭の切り替えに時間がかかります。曜日で分けるのが難しければ、「午前は案件A、午後は案件B」のように時間帯で区切ります(タイムブロッキング)。
- 集中が必要な設計・実装・デバッグは、案件ごとにまとまった時間を取る
- 定例会議は、各案件の稼働日に寄せてもらう
- 予定の重なりは、カレンダーに全案件の予定を入れて確認する
連絡の時間帯と返信の目安を先に伝える
参画時に、各案件の担当者へ次のことを伝えておくとトラブルを防げます。
- 稼働する曜日と時間帯
- 稼働日以外のチャットに返信する時間帯(例:平日17:30〜18:00)
- 障害など緊急時の連絡方法
作業時間を記録して見積もりに使う
案件ごとに作業時間を記録すると、作業報告書がそのまま作れます。見積もりと実績の差もわかるので、次の見積もりの精度が上がります。
- タスクを「重要か」「急ぎか」で分け、重要で急ぎでない学習や改善の時間も先に予定に入れる
- 25分作業して5分休むなど、時間を区切って集中する(ポモドーロ・テクニック)
- 毎回やる作業は、スニペットやスクリプトにして手順を減らす
コスモくんポイント作業時間は案件ごとに記録しておこう。報告書にも見積もりにも使えるのがポイントだよ!
契約前に確認すること
チェックリスト
- 他の仕事を受けることを禁止・制限する条項がないか(事前の届け出が必要かも含めて)
- 競業避止の範囲(同業他社の案件を受けられないのか、期間はいつまでか)
- 秘密保持の範囲と、資料・コードの持ち出しや流用の禁止
- 稼働率と精算幅(下限を割ったときの控除、超えたときの精算)
- 稼働する曜日・時間帯、定例会議の時間
- 作業報告書の書き方と提出のタイミング
- 貸与PCの有無、個人の端末を使ってよいか
競業避止・秘密保持
同業の2社を掛け持ちする場合は、競業避止の条項に特に注意します。案件Aで知った情報を案件Bで使うと、秘密保持の違反になります。
- 端末、ブラウザのプロファイル、アカウント、リポジトリを案件ごとに分ける
- 画面共有の前に、他案件のウィンドウや通知を閉じる
- 似た機能でも、他案件のコードや資料をコピーして使わない
発注側が、合理的に必要な範囲を超えた秘密保持義務や競業避止義務を一方的に課すことは、優越的地位の濫用として問題になるおそれがあります(内閣官房・公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」)。範囲が広すぎると感じたら、契約前に相談しましょう。
稼働時間の申告
準委任の月額案件では、精算幅の時間に対して報酬が決まります。作業報告書には、案件ごとの実際の時間を書きます。
- 同じ時間帯を、2つの案件の両方に計上しない
- 精算幅の下限を割りそうなときは、早めに相談する
- 稼働日以外に対応した時間は、どちらの案件の何の作業かを記録しておく
準委任と請負の違い、精算幅の考え方は委任と委託の違いにまとめています。
使えるツールの種類
特定の製品にこだわる必要はありません。種類ごとに、掛け持ちで役に立つ使い方をまとめました。
| 種類 | 掛け持ちでの使い方 |
|---|---|
| カレンダー | 全案件の予定を1つにまとめ、案件ごとに色を分けて重なりを確認する |
| タイムトラッキング(作業時間の記録) | 案件ごとに作業時間を記録し、作業報告書と精算幅の管理に使う |
| タスク管理 | 案件をまたいで、今週やることを1か所で見る |
| チャットの通知設定 | 稼働日以外の案件は通知を切り、確認する時間帯を決める |
| パスワードマネージャー | 案件ごとのアカウントを分けて管理する |
| ブラウザのプロファイル | 案件ごとにログイン状態や履歴を分ける |
貸与PCや指定ツールがある案件では、そちらのルールが優先です。
よくある質問
掛け持ちは何件までできますか?
件数の上限はありません。月の合計稼働時間と、各案件の時間帯が重ならないかで決まります。月160〜180時間の中に収まるかを目安にしてください。
案件の面談で、掛け持ちしていることを伝えるべきですか?
伝えたほうが安全です。稼働できる曜日・時間帯の前提がずれると、参画後のトラブルになります。契約に他の仕事の届け出の条項があれば、それに従います。
「週3出社」の案件は週3日の稼働ですか?
多くの場合、違います。テックスペースでタイトルに「週3」を含む41件は、すべて稼働率100%でした。働く日数は「稼働率」の欄で確認しましょう。
複数の取引先から報酬を受け取ると、確定申告はどうなりますか?
個人事業主なら、取引先ごとの売上を合計して1つの事業所得として申告します。取引先ごとに請求書と入金を管理しておくと、申告の準備が楽になります。
収入を安定させるなら、掛け持ちと長期案件のどちらが良いですか?
まずは長期の案件1本で生活費をまかない、その上で2本目を足す順番がおすすめです。長期案件を土台にした収入の組み立て方はフリーランスエンジニアのストック収入で紹介しています。
まとめ
- 掛け持ちは件数ではなく、月の合計稼働時間(目安160時間前後)で決める
- テックスペースの募集中案件100件のサンプルは、すべて稼働率100%だった
- タイトルの「週3」は出社やリモートの日数のことが多い。働く日数は「稼働率」の欄で確認する
- 週3+週2は、収入は週5の1本と同じ。得られるのは取引先の分散
- 契約前に、他の仕事の制限・競業避止・秘密保持・精算幅を確認する
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