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公開日

2026/10/28
AIに仕事を奪われるエンジニア・残るエンジニアの違い|案件データで見る【2026年】
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AIの影響を受けやすいのは「エンジニア」という職種ではなく、AIが手伝いやすい作業だけを担当する働き方です。テックスペースの案件データでは、単価が高い案件ほど要件定義・顧客折衝・リードが業務内容に入り、実装やテストの割合はほとんど変わりませんでした。
この記事では、月91万円以上の募集中全493件と月61〜70万円の250件の工程比較、案件名で見た単価の差、工程ごとの「AIが手伝いやすい作業/人が責任を持つ作業」の表、3か月・1年の行動表を紹介します。

この記事の要点

  • データはテックスペースの募集中案件7,364件(2026年10月21日取得)。単価の上限が月91万円以上の全493件と、月61〜70万円の250件を比べた
  • 業務内容に「実装」が入る割合は、月91万円以上が21.5%、月61〜70万円が24.0%で、ほぼ同じ
  • 差が大きいのは顧客折衝・関係者調整(33.9%と14.8%)、企画・提案(19.5%と7.2%)、チームのリード(21.1%と8.0%)
  • メンバー案件でも、業務内容が下流工程(実装・テスト・運用保守)だけの案件は、月61〜70万円で47.5%、月91万円以上で29.1%
  • 経済産業省は、生成AI時代のソフトウェアエンジニアに「AIツールを使いこなすスキル」「上流スキル」「対人スキル」を挙げている

AI時代のエンジニアの戦い方の全体像は、AI時代のエンジニアの戦い方|案件データで見る、仕事が残る人・単価が上がる人にまとめています。

AIに仕事を奪われるエンジニアはいる?

職種ごと消えると言える根拠は、案件データからは見つかりません。分かれるのは、担当する工程の範囲です。

この記事でいう「AIに仕事を奪われる」とは、AIで速くなる作業だけを担当していて、単価や案件数が伸びにくくなる状態のことです。

テックスペースには、AIツールを使って開発する案件も、生成AIを組み込む案件もあります。AIが入った現場でも、人の役割は残っています。変わったのは、人に求められる作業の中身です。

なお、海外の「◯%の仕事がなくなる」といった数字は、この記事では使っていません。調査ごとに対象の国・職業の分け方・「技術的に置き換えられる」か「実際に置き換わる」かの前提が違い、日本のフリーランス案件にそのまま当てはめられないためです。将来の予測も断定しません。

AIが手伝いやすい作業と、人が責任を持つ作業はどう分かれる?

同じ工程の中に、両方の作業が入っています。AIが下書きや確認を速くしても、何を作るかを決め、出力を確かめて責任を持つのは人です。

工程ごとに整理すると、次のとおりです。右の2列は、その工程の言葉が案件ページの「業務内容」欄に出てくる割合です(2026年10月21日取得)。

工程AIが手伝いやすい作業人が責任を持つ作業月91万円以上(493件)月61〜70万円(250件)
企画・提案他社事例の調査、比較表・提案書の下書き顧客の課題を聞き出し、何をやるかを決める19.5%7.2%
要件定義議事録の要約、要件一覧の整形、抜け漏れの洗い出し優先順位と範囲を顧客と合意する23.9%14.4%
基本設計・方式設計構成案の候補出し、設計書のひな形づくり技術を選び、性能・セキュリティ・費用の妥協点を決める15.6%21.2%
詳細設計・実装定型のコード、既存コードの解析・要約、リファクタリング案仕様どおりか確かめ、マージしてよいか判断する6.7%・21.5%8.4%・24.0%
テストテストコード・テストケースの下書き、ログの要約何をどこまで試せば十分かを決め、品質に責任を持つ26.0%33.2%
運用・保守手順書の下書き、障害ログの一次調査本番での判断、障害時の顧客への説明34.1%42.8%
顧客折衝・調整説明資料の下書き、論点の整理関係者と合意をつくる、言いにくいことを伝える33.9%14.8%
リード・レビューレビュー観点の候補出しメンバーの成果物とAIの出力を確かめて受け入れる21.1%・13.6%8.0%・8.0%

※「詳細設計・実装」「リード・レビュー」は2つの言葉の割合を並べた。1件が複数の工程に入る。案件ページの言葉で判定した目安

表の右2列を見ると、下流の工程は月61〜70万円側にやや多く、上流と調整は月91万円以上側に多いことがわかります。人が判断して合意をつくる工程ほど、高単価の案件に多く出てきます。

公的な資料も、同じ方向を示しています。

  • 経済産業省「生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキルの考え方2024」(2024年6月28日)は、ソフトウェアエンジニアに求められるスキルとして、AIツールを使いこなすスキル、設計・技術面でビジネス側を引っぱる上流スキル、対人スキルを挙げている
  • 同じ資料は、DXを進める人材に「問いを立てる力」「仮説を立て・検証する力」「評価する・選択する力」が求められるとしている
  • 総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」は、AIを使う事業者に、AIの出力の精度やリスクを理解・確認したうえで使うことを求めている

コスモくんコスモくんポイントAIが速くするのは「下書き」と「確認の手間」だよ。何を作るか決めて、出力に責任を持つのは人の仕事なのがポイントだよ!

単価が高い案件には何が多い?

要件定義・リーダー・顧客折衝の3つです。「必須スキル」欄で比べると、どれも月61〜70万円の案件の2.6〜4倍になります。

必須スキル欄・ポジション月91万円以上(493件)月61〜70万円(250件)差
必須スキル欄に「要件定義」18.1%4.4%約4.1倍
必須スキル欄に「リーダー・マネジメント」32.0%10.8%約3.0倍
必須スキル欄に「顧客折衝・調整」26.6%10.4%約2.6倍
ポジションがPM・PMO・PL35.9%13.2%約2.7倍

※2026年10月21日、テックスペースの募集中案件を全件取得し、単価の上限で分けた。月61〜70万円は該当2,058件から無作為に250件を抽出。ポジションはPM・PMO・PLの案件一覧に載っているかで判定

一方で、「業務内容」欄に出てくる工程を比べると、手を動かす作業の割合はあまり変わりません。

業務内容に出てくる工程月91万円以上(493件)月61〜70万円(250件)
製造・実装21.5%24.0%
テスト26.0%33.2%
運用・保守・監視34.1%42.8%
ドキュメント・資料作成15.0%15.2%
顧客折衝・関係者調整33.9%14.8%
企画・提案・構想19.5%7.2%
進捗・課題・ベンダー管理16.8%6.4%
チームのリード・指導21.1%8.0%

表から読み取れることは、次の3つです。

  • 高単価の案件も実装をしている。製造・実装は21.5%と24.0%で、差は2.5ポイントだけ
  • 差がつくのは「実装の前後」。顧客折衝は約2.3倍、企画・提案は約2.7倍、進捗管理は約2.6倍
  • ドキュメント作成はどちらも15%前後。資料を作ること自体では単価は分かれない

高単価の案件に共通する条件(領域・スキル・経験年数・リモート)は、月100万円以上のフリーランス案件の条件でくわしく比べています。

メンバー案件はどの工程を任されている?

月61〜70万円のメンバー案件は、約半分が下流工程だけの業務内容でした。月91万円以上のメンバー案件では、半分以上に上流や調整の言葉が入ります。

PM・PMO・PLのポジションではない「メンバー」の案件だけで比べました。

業務内容の範囲月91万円以上のメンバー(316件)月61〜70万円のメンバー(217件)
上流・調整の言葉を含む56.3%31.3%
下流の言葉だけ(実装・テスト・運用保守など)29.1%47.5%
どちらの言葉もない14.6%21.2%
うち「要件定義」21.2%12.0%
うち「顧客折衝・関係者調整」25.3%13.4%
うち「製造・実装」23.7%24.9%
うち「テスト」25.0%33.6%
うち「生成AI・AIツール」の言及17.4%9.7%

※上流・調整=要件定義・企画・提案・折衝・調整・ヒアリング・進捗管理・リードなど、下流=製造・実装・テスト・運用・保守・監視・詳細設計など。言葉で判定した目安

肩書きはメンバーでも、月91万円以上の案件は「要件定義から」「ヒアリングから」と書かれていることが多くなります。

実際の案件ページの業務内容を、要点だけにすると次のとおりです。

単価(上限)業務内容の要点入っている工程
月60〜65万円製造装置の開発で、基本設計以降の工程をC#で担当し、コードレビューも行う基本設計以降
月65万円設計・開発が終わったデータ連携基盤の結合テスト・総合テストと、本番移行の支援テスト・移行
月60〜70万円生成AIを使ったWebアプリ開発・業務の自動化、OCRの精度比較、プロンプトの調整実装・検証
〜月95万円COBOLの生産管理システムを.NETに刷新。AI駆動開発で、技術検証・要件定義から設計・実装・テスト・導入まで一貫して担当要件定義〜導入
月100万円CRM(顧客管理)の導入・刷新。業務フローの見える化と顧客へのヒアリング・要件定義から、実装まで主導ヒアリング〜実装
月70〜100万円基幹システムのフルスタック開発(Java・React・AWS)。要件定義から結合テストまで一貫して担当要件定義〜結合テスト

月61〜70万円の例には、生成AIを使う案件も入っています。月95万円の例もAI駆動開発です。AIを使うかどうかより、どの工程から任されるかで単価の帯が分かれています。

生成AI・AIツールの言及がある案件に絞ると、業務内容に上流・調整の言葉が入る割合は、月91万円以上で56.3%(71件中40件)、月61〜70万円で26.1%(23件中6件)でした。月61〜70万円側は件数が少ないため、目安として見てください。

コスモくんコスモくん注意AI案件でも、実装と検証だけだと月60万円台のこともあるよ。AIスキルだけで単価が上がるとは限らないから気をつけてね。

案件名で見ると、どの仕事の単価が高い?

案件名に「テスト」「運用・保守」が入る案件は、単価の上限の中央値が月60万円です。「要件定義」「リーダー」は月70万円台、「アーキテクト」「コンサル」は月90万円以上でした。

募集中の7,364件すべてを、案件名に入っている言葉で分けました。

案件名に入っている言葉件数単価上限の中央値月71万円以上月91万円以上フルリモート
テスト・検証・QA542件60万円16.9%6.2%8.3%
運用・保守・監視・ヘルプデスク1,922件60万円15.5%3.4%6.9%
開発・実装・製造3,125件65万円20.0%5.7%12.2%
設計・構築1,688件67万円28.6%7.8%7.9%
要件定義・上流・企画・構想・戦略335件70万円42.9%18.5%7.2%
リーダー・PL・PM・マネージャー598件72万円53.2%21.3%10.5%
PMO180件70万円47.4%26.3%4.4%
アーキテクト66件90万円81.6%38.8%19.7%
コンサル95件110万円90.3%65.3%15.8%
生成AI・LLM・RAG・AIエージェント213件75万円53.8%18.3%15.5%
AIツール・AI駆動開発(Claude Code・Cursor・Copilotなど)141件70万円38.8%9.1%28.4%
案件全体7,364件65万円24.7%8.4%9.8%

※2026年10月21日、募集中の案件一覧を全737ページ取得して集計。単価の割合と中央値は、金額が書かれた案件(全体で5,891件)が分母。フルリモートは件数が分母。1件が複数の行に入る

  • テスト・運用保守は、月91万円以上が3〜6%。案件数は多いが、単価の上限は伸びにくい
  • 「アーキテクト」は66件と少ないが、月71万円以上が8割。上流に行かず、技術を深める道もある
  • AIツールを使う開発は、月71万円以上が38.8%で開発・実装(20.0%)の約2倍。ただし月91万円以上は9.1%で、要件定義・上流(18.5%)の約半分。フルリモートは28.4%と高い

AIツールを使う開発の案件が、ツールごとにどう求められているかは、AIコーディングツールを使う案件の単価と求められ方で紹介しています。生成AIを組み込む案件の単価はAI・LLM案件の単価相場と必要スキルにまとめています。

「残るエンジニア」に共通することは?

AIを使わないことではありません。AIを使ったうえで、作業の目的・判断・結果の説明まで引き受けていることです。

単価が伸びにくい働き方と、伸びやすい働き方を、同じ作業で比べると次のとおりです。

場面単価が伸びにくい働き方単価が伸びやすい働き方
実装指示された機能だけを書く何のための機能かを確認し、仕様の矛盾を先に指摘する
AIの出力生成したコードをそのまま出すテスト・レビューで確かめ、採用した理由を説明できる
テスト渡されたテストケースを流すどこまで試せば十分かを決め、テスト方針を書く
顧客との接点窓口は上司やリーダーに任せる定例で進み具合と課題を自分で説明する
チーム自分の担当だけを終わらせるAIツールの使い方やレビューの観点をチームにそろえる
職務経歴書「Java・AWSで開発」と技術名を並べる担当した工程・規模・判断したことを書く

右の列のどれも、肩書きがなくても今の現場で始められます。案件の「必須スキル」欄でも、月91万円以上の案件は「一人称で対応」「上流から」といった任された範囲を問う書き方が多くなります。

AIの出力を確かめて納めるのは、受けた側の責任です。準委任の契約では、専門家として通常求められる注意を払う義務(善管注意義務)を負います。契約の基本は委任と委託の違いで説明しています。

今日からできる行動は?(3か月・1年)

3か月で「AIを使った実績」と「上流に一歩入った実績」を1つずつ作り、1年で「要件定義から任された案件」に応募できる経歴にします。

期間やること職務経歴書に書ける形確認の目安
今週LLMや自分の言語ページで、月91万円以上の案件の必須スキル欄を10件読む—足りない条件を3つ書き出せた
3か月今の現場で、AIツールを使ってテストコードやドキュメントの作業を速くする。現場のルールで許される範囲で行う「AIツールでテストコード作成の手順を整え、作成時間を短縮」短縮した時間や件数を数字で言える
3か月定例や仕様の確認で、顧客や関係者と直接話す役を1つ引き受ける「顧客との仕様調整を担当」自分の名前で議事録や課題表を出した
3か月AIの出力のレビュー観点をまとめ、チームに共有する「AI生成コードのレビュー観点表を作成し、チームで運用」チームで使われている
1年要件定義か基本設計の工程に、担当として入る「要件定義〜結合テストを担当(体制◯名)」工程の名前と体制の人数を書ける
1年小さなチームのリード役(サブリーダー、レビュー担当)を経験する「メンバー◯名のレビュー・進捗管理を担当」案件の「リーダー経験」の条件を満たせる
1年技術を深める方向なら、設計の判断を任される役(アーキテクト)を狙う「方式設計・技術選定を担当」選んだ理由と比べた案を説明できる

数字の例(◯名、時間など)は、自分の実績に置きかえて書いてください。

生成AIを現場で使う前に、使ってよいツールと入力してよい情報をクライアントに確認しておきます。注意点はAI・LLM案件の記事の「契約・情報管理の注意」にまとめています。

コスモくんコスモくんポイントまずは3か月で「AIを使った実績」と「顧客と話した実績」を1つずつ作ろう。工程の名前で書けると、応募できる案件が広がるよ!

今の案件を見直すチェックリスト

  • 今の業務内容を工程の名前(要件定義・基本設計・実装・テスト・運用保守)で言える
  • 実装・テスト以外の工程に、少しでも関わっている
  • 顧客や他チームと、直接やりとりする場面がある
  • AIツールの利用ルールを、クライアントに確認した
  • AIの出力をどう確かめたかを、説明できる
  • 職務経歴書に、技術名だけでなく担当工程と規模を書いている

よくある質問

AIでエンジニアの仕事はなくなりますか?

職種ごとなくなると言える根拠は、テックスペースの案件データにはありません。AIツールを使う開発の案件や、生成AIを組み込む案件が募集されています。変わりつつあるのは、人に任される作業の中身です。

「◯%の仕事がなくなる」という調査は信じていいですか?

まず、どの国の、どの職業分類で、何を前提にした数字かを確認してください。「技術的に置き換えられる」と「実際に置き換わる」は別の話です。この記事では、前提を確認できない数字は使っていません。

メンバー案件しか経験がないと不利ですか?

不利とは限りません。月91万円以上の案件の64.1%は、ポジションがメンバーでした。ただし、そのうち56.3%は業務内容に要件定義・調整・リードなどの言葉が入っています。

AIツールが使えれば単価は上がりますか?

AIツールを使う開発の案件は、月71万円以上が38.8%で、開発・実装の案件全体(20.0%)より高めです。一方、月91万円以上は9.1%で、要件定義・上流の案件(18.5%)の約半分でした。ツールに加えて、担当できる工程の広さが効きます。

要件定義の経験は、どうやって作ればいいですか?

いきなり要件定義の担当になるより、仕様の確認や顧客との定例など、近い作業から引き受けるのが現実的です。議事録・課題表を自分の名前で出すと、職務経歴書に書ける実績になります。

上流に行かないと、この先は厳しいですか?

上流だけが道ではありません。案件名に「アーキテクト」が入る案件は66件と少ないものの、月71万円以上が81.6%でした。技術を深めて設計の判断を任される道もあります。

テストや運用保守の仕事は、もう選ばないほうがいいですか?

案件数は多く、テスト・検証は542件、運用・保守・監視は1,922件ありました。ただし単価の上限は伸びにくいため、テスト方針づくりや運用の改善提案など、判断を含む役割へ広げると次の案件につながりやすくなります。

まとめ

  • AIで変わるのは職種ではなく、任される作業の中身。将来の割合を断定する数字は使わなかった
  • 高単価の案件も実装はしている(21.5%と24.0%でほぼ同じ)。差は顧客折衝・企画提案・リードなど実装の前後
  • 月61〜70万円のメンバー案件は、47.5%が下流工程だけの業務内容。月91万円以上のメンバー案件は56.3%に上流・調整が入る
  • 案件名で見ると、テスト・運用保守の単価上限の中央値は月60万円、アーキテクトは月90万円、コンサルは月110万円
  • 3か月で「AIを使った実績」と「顧客と話した実績」、1年で「要件定義から任される経歴」を作る

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この記事を書いた人

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