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2026/10/28フリーランスエンジニアが生成AIを仕事で使ってよいかは、自分ではなく契約とクライアントのルールで決まります。使えるときも、入れる情報・ツールの設定・成果物の権利の3つを確認してから使います。
この記事では、入れてはいけない情報の表、主なAIツールの「学習に使わない」設定(2026年10月28日に公式で確認)、契約前にそのまま使えるチェックリストを、国のガイドラインへのリンクつきでまとめました。テックスペースの募集中案件290件で、AIのセキュリティ配慮がどう求められているかも集計しています。
AI時代のエンジニアの戦い方の全体像は、AI時代のエンジニアの戦い方|案件データで見る、仕事が残る人・単価が上がる人で紹介しています。
この記事の要点
- 生成AIに入れてよい情報の範囲は、業務委託契約・秘密保持契約とクライアントのAI利用ルールで決まる。条項がなければ、使う前にメールで確認する
- 認証情報(APIキー・パスワード・秘密鍵)は、許可があっても入れない。個人情報・顧客のソースコード・未公開の仕様は、許可と設定の確認が取れてから
- 「学習に使わない」かどうかはプランと設定で変わる。たとえばGitHub Copilotの個人向けプランは、2026年4月24日から操作データを学習に使う場合がある(設定でオプトアウトできる)
- AIだけで作った部分には、著作権が認められないことがある。成果物の著作権を譲渡する契約なら、AIを使った範囲を説明できるようにしておく
- テックスペースのAI関連の募集中案件290件のうち、17件(5.9%)は必須スキルにセキュリティ・ガバナンス・個人情報の扱いなどが入っている(2026年10月28日取得)
生成AIを仕事で使うとき、フリーランスが最初に確認することは?
最初に確認するのは、その案件で生成AIを使ってよいか、使うならどの範囲かです。フリーランスはクライアントの情報を預かる立場なので、自分の判断だけでは決められません。
生成AIは、指示(プロンプト)に応じて文章・コード・画像などを作るAIです。総務省・経済産業省の「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」では、事業でAIを使う人を「AI利用者」と呼びます。仕事でAIツールを使うフリーランスも、この立場にあたります。
ガイドラインの第5部「AI利用者に関する事項」(本編40〜41ページ)では、AI利用者に次のことを求めています。
| ガイドラインの項目 | 書かれていること | フリーランスの仕事に置きかえると |
|---|---|---|
| U-2)i. 安全を考慮した適正利用 | AIの出力の精度とリスクを理解し、確認した上で使う | AIが書いたコードはレビューとテストをしてから納める |
| U-4)i. 個人情報の不適切入力への対策 | 個人情報を不適切に入力しないよう注意する | 顧客データや本番ログをそのまま貼らない |
| U-5)i. セキュリティ対策の実施 | 機密情報等を不適切に入力しないよう注意する | 非公開のソースコードや設計書は、許可の範囲でだけ入れる |
| U-7)ii. 規約の遵守 | AI提供者のサービス規約を守る | 使うツールの規約・プランの条件を読んでおく |
フリーランスが気をつけるリスクは、大きく3つです。
| リスク | 起きること | 主な対策 |
|---|---|---|
| 情報漏えい | 顧客の情報が外部サービスに送られ、保存・学習される。契約の秘密保持義務に違反する | 入れる情報を決める。法人プランや学習オフの設定を使う |
| 著作権・ライセンス | AIの出力が既存のコードや文章に似ていて、権利を侵害する。AIだけで作った部分に著作権がない | 似ていないか確認する。AIを使った範囲を記録する |
| 品質と責任 | 誤ったコードや存在しないAPIを、確認せずに納めてしまう | レビュー・テストの手順を決める。最終的な責任は自分にあると考える |
IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2026」(組織編)では、「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が初めて選ばれ、3位でした。2位は「サプライチェーンや委託先を狙った攻撃」です。業務委託で働くフリーランスは、この「委託先」にあたります。
コスモくんポイント生成AIを使えるかどうかは契約とクライアントのルールしだい。自分の判断で使い始めないのがポイントだよ!
テックスペースの案件では、AIのセキュリティ配慮はどのくらい求められている?
AI関連の案件の約6%は、必須スキルにセキュリティやガバナンスが入っています。業務内容まで含めると約1割です。
2026年10月28日7時に、テックスペースの「生成AI・AI開発」「機械学習・AI」「LLM」のページを全ページ取得し、募集中の案件290件(重複を除く)の必須スキル欄と業務内容を集計しました。
| 条件 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 必須スキルに「セキュリティ」「ガバナンス」「ガードレール」「個人情報・機密情報の取り扱い」「リスク整理」などが入っている | 17件 | 5.9% |
| 必須スキルか業務内容に、上の言葉や「監査ログ」「権限管理」「データ保護」「AI利用ルール」などが入っている | 30件 | 10.3% |
実際の案件では、次のように書かれています。
| 案件(業種と仕事) | 必須スキル・業務内容に書かれていること | 単価(月) | リモート比率 |
|---|---|---|---|
| 海運グループのAIガバナンス審査・評価 | 必須:リスク管理またはガバナンス業務の経験。業務:生成AIのSaaS導入やAIエージェント開発の申請を、社内のガイドラインに沿って審査する | 70〜110万円 | 0% |
| エンタメ企業のAI・クラウド活用のセキュリティ担当 | 必須:生成AI利用時のリスク整理と判断の経験、個人情報・機密情報の取り扱いに関する実務知識 | MAX70万円 | 80% |
| AIガバナンス・Azureのセキュリティ支援 | 必須:AIガバナンスまたはセキュアAI開発の基準策定経験。業務:データ保護・権限管理・AIアプリの脆弱性対策の基準づくり | 107万円 | 80% |
| AIコーディングツールを使ったAIワーカーの構築 | 必須:AIエージェントの実行監視・ログ可視化と、権限管理・Human-in-the-loop(人の承認)・監査の設計経験 | 〜90万円 | 80% |
| 金融向けAIエージェントの立ち上げ | 業務:ガードレール(AIの出力を制限する仕組み)や監査ログなど、安全性を意識した開発 | 〜80万円 | 0% |
| 生命保険会社のAI駆動開発の推進 | 業務:AI利用ルール・ガバナンス・開発標準の整備、認証ログ基盤の整備 | スキル見合い | 0% |
| 生成AIのセキュリティ診断の支援 | 必須:Webアプリやクラウドの脆弱性診断の実務経験。業務:生成AIを導入した企業の診断と報告書の作成 | 59万円 | 80% |
読み取れることは2つです。
- AIのセキュリティ・ガバナンスそのものが仕事になる案件がある。審査・基準づくり・診断などで、月100万円を超える案件もある
- AIを組み込む開発では、安全に使う仕組みも仕事に含まれる。権限管理、人の承認、監査ログは、開発案件の業務内容にも書かれている
通常の開発案件でも、「Claude Code、Devin、GitHub Copilot等のAI開発支援ツールを利用可能」のように、使ってよいツールをクライアントが指定する書き方があります。指定がない案件では、面談か契約前に確認しましょう。AI関連案件の単価や種類はAI・LLM案件の単価相場と必要スキル、AIコーディングツールを使う案件はAIコーディングツールを使う案件の単価と求められ方でくわしく紹介しています。
コスモくんポイントAIを「安全に使う設計」ができると、ガバナンスや監査の案件にも手が届くよ。権限管理やログの経験は経歴書に書いておこう!
生成AIに入れてはいけない情報は?
認証情報は、許可があっても入れません。個人情報・顧客のソースコード・未公開の仕様は、契約上の許可とツールの設定を確認できてから入れます。
| 情報 | 例 | 入れる前の判断 | 代わりにできること |
|---|---|---|---|
| 認証情報 | APIキー、パスワード、アクセストークン、秘密鍵、DBの接続文字列、.env ファイル | 入れない | 値を xxxx などに置きかえる。漏れたらすぐ無効にする |
| 個人情報 | 顧客・ユーザーの氏名やメールアドレス、問い合わせ履歴、本番ログのIPアドレスや会員ID | 契約で許可され、学習に使わない設定・契約を確認できた場合だけ | 架空のテストデータを作る。項目名と型だけを渡す |
| 顧客のソースコード | 非公開リポジトリのコード、社内ライブラリ | 契約とクライアントのルールで許可された範囲だけ | 問題の部分だけを、社名や固有の名前を消して最小限にする |
| 未公開の仕様・設計書 | 要件定義書、基本設計書、リリース前の機能、画面イメージ | 同上 | 一般的な形に書きかえて質問する |
| 本番データ・障害の情報 | 本番DBのダンプ、未修正の脆弱性、ペネトレーションテストの結果 | 原則入れない。許可がある場合も範囲を決める | エラーメッセージから個人情報や内部のホスト名を消す |
| ほかの会社から預かった情報 | 再委託元・エンド企業の資料、取引先の契約書 | 秘密保持条項で、使い道や開示先が決められていることが多い | 預けた会社の許可を取る |
| 自分の取引の情報 | 単価、契約書、ほかのクライアントの情報 | 別のクライアントの作業環境に混ぜない | クライアントごとにアカウントや作業フォルダを分ける |
個人情報には、個人情報保護法のルールもかかわります。個人情報保護委員会は「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」(2023年6月2日)で、事業者に次のように注意を呼びかけています。
- 個人情報を含むプロンプトを入れる場合は、利用目的を達成するために必要な範囲か十分に確認する
- 本人の同意なく個人データを入れ、それが応答の出力以外の目的で扱われると、法律に違反する可能性がある。そのため、AIサービスの事業者がそのデータを機械学習に使わないことなどを十分に確認する
クライアントから個人データを預かって作業するとき、フリーランスはクライアントの「委託先」になります。クライアントには委託先を監督する義務があります(個人情報保護法25条)。外部のAIサービスに入れてよいかを、クライアントが気にするのはこのためです。
AIコーディングツール(エージェント)で気をつけること
Claude Code・Cursor・GitHub CopilotなどのAIコーディングツールは、チャットに貼った内容だけでなく、作業フォルダのファイルを読んだり、コマンドを実行したりします。自分で貼っていない情報が送られることがあるので、チャット型のAIより注意が必要です。
IPAのサイトで公開されている「生成AIおよびAIエージェントを安全に活用するための手引書」(2026年7月、中核人材育成プログラム9期生)は、AIによる被害として「情報の漏洩」「付与権限外の操作」「システムや内部データの改ざん」「過剰課金の発生」などを挙げています。フリーランスの作業環境では、次のように対策します。
- クライアントごとに作業フォルダ・リポジトリ・AIツールのアカウントを分ける
.envや秘密鍵、認証ファイルをAIツールに読ませない設定にする(各ツールの除外設定を使う)- 本番環境の認証情報を、AIツールを動かす端末に置かない
- 承認なしでコマンドを実行する設定を、本番につながる環境で使わない
- AIツールに渡すAPIキーやクラウドの権限は、必要な範囲だけにする(利用額の上限も決める)
- 会話の記録がどこに、どのくらい残るかを把握する(たとえばClaude Codeは、初期設定で会話の記録を端末内に30日間保存する)
- AIが提案したライブラリが実在し、メンテナンスされているか確認してから入れる
毎日の作業で守る情報管理(ディスクの暗号化、パスワード管理、公衆Wi-Fiの扱いなど)は、情報セキュリティ資格のおすすめ9選の「フリーランスが守るべき情報管理」にチェックリストがあります。
コスモくん注意APIキーやパスワードは、許可があってもAIに入れないでね。.env を読ませない設定も確認しよう。
「学習に使わない」設定は、ツールごとにどう違う?
同じツールでも、個人向けプランと法人向けプランで扱いが違います。2026年10月28日に、各社の公式ページで確認できた内容は次のとおりです。
| ツール | 個人向けプラン | 法人向けプラン | 公式ページ |
|---|---|---|---|
| Claude(Claude Codeを含む) | Free・Pro・Maxは、設定がオンのときに学習に使われる。プライバシー設定でいつでも変えられる。保存期間は、学習を許可すると5年、許可しないと30日 | Team・Enterprise・APIは、商用規約のもとで送ったコードやプロンプトを学習に使わない(顧客が提供を選んだ場合を除く) | Data usage |
| GitHub Copilot | Free・Pro・Pro+は、2026年4月24日から操作データ(入力・出力・コードの断片など)を学習に使う場合がある。個人のCopilot設定でオプトアウトできる | Business・Enterpriseのデータは学習に使わない | GitHub Docs、GitHub Blog |
| Gemini アプリ | 個人のGoogleアカウントで「アクティビティの保存」をオフにすると、以降のチャットはAIモデルの改良に使われない(フィードバックを送った場合を除く)。人間のレビュアーがチャットの一部を確認することがある | 仕事用・学校用アカウントには、別のデータの取り扱い規約が適用される場合がある | Gemini アプリのプライバシー ハブ |
| Cursor | プライバシーモードを有効にすると、データを学習に使わない。初期設定でオンかどうかは、公式ページでは確認できなかった | チームや企業の管理者がプライバシーモードを有効にできる | Security |
| ChatGPT など、そのほかのサービス | 各サービスの設定とプランの規約を確認する | 各サービスの法人向けの規約を確認する | 各社の公式サイト |
表を読むときの注意は3つです。
- 学習に使わないことと、保存されないことは別。学習をオフにしても、一定期間はサービス側に保存されることがある
- 学習オフでも、契約で禁止されていれば入れない。設定は、クライアントの許可の代わりにはならない
- 規約は変わる。GitHub Copilotのように、途中で扱いが変わることがある。案件に入るときに、もう一度確認する
クライアント側のルールの例として、大阪市の「業務受託事業者等向け生成AI利用ガイドライン」(第1.1版、2025年12月22日)があります。特記仕様書がある業務では、受注者が生成AIを使う前に発注者の確認を受けること、入力を学習しない設定にすること、業務で知った秘密や個人情報を入れないことなどが定められています。発注者がどこを気にしているかがわかる資料です。
コスモくん注意学習オフでも、入れてよいかを決めるのはクライアントだよ。設定は許可をもらった上での対策と考えよう。
生成AIで作ったコードや文章の著作権はどうなる?
AIだけで作った部分には、著作権が認められないことがあります。人が具体的な指示を重ねたり、加筆・修正したりした部分は、著作物と認められる可能性があります。
文化庁の「AIと著作権について」にある「AIと著作権に関する考え方について」(2024年3月15日、39〜40ページ)では、次のように整理されています。
| 判断の要素 | 考え方 |
|---|---|
| 指示の内容 | 表現に至らないアイデアだけの指示では、著作物性は認められない。創作的な表現を具体的に示す詳細な指示は、認められる可能性を高める |
| 生成の回数 | 回数が多いだけでは影響しない。出力を見て指示を直しながら繰り返す場合は、認められることもある |
| 出力の選択 | 複数の出力から選ぶだけでは影響しない |
| 人の加筆・修正 | 人が創作的な加筆・修正をした部分は、通常、著作物性が認められる |
これは、業務委託契約の「成果物の著作権を発注者に譲渡する」条項にかかわります。AIだけで作った部分に著作権がなければ、譲渡する権利もありません。発注者が「すべて自社の著作物になる」と考えていると、認識がずれます。
同じ文化庁の「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」(2024年7月31日)では、AIを業務で使う人に次のことを勧めています。
- 生成AIの仕組み上、既存の著作物に似たものが出力されることがある。使う人が元の著作物を知らなくても、生成・利用が著作権侵害になることがある(3-1-1)
- 侵害になるのは、既存の著作物との「類似性」と「依拠性」の両方がある場合。使う前に、既存の著作物に似ていないか確認する(3-1-5)
- AIで作ったものを、著作物であることを前提に取引する場合は、AIを使ったことや著作物性について関係者に説明する(3-1-6)
- 生成に使ったプロンプトなど、生成の過程を確認できる状態にしておく(3-1-7)
フリーランスの仕事に置きかえると、次のようになります。
| 場面 | やること |
|---|---|
| AIでコードや文書を作る | どこをAIで作り、どこを自分で直したかを、コミットやメモで残す |
| 成果物を納める | AIで作った部分をレビュー・テストし、既存のコードや文章に似すぎていないか確認する |
| 著作権を譲渡する契約 | AIを使う予定があれば、契約前に伝える。AI生成部分の扱いを確認する |
| 「第三者の権利を侵害しない」保証の条項 | 保証の範囲が広すぎないか確認する。AIの出力について、どこまで確認すればよいかを話し合う |
著作権の譲渡範囲(翻案権、著作者人格権、自作ツールの扱い)の見方は、フリーランスの業務委託契約チェックリストの「知的財産(著作権)」で紹介しています。
コスモくんポイントAIで作った部分と、自分で直した部分を記録に残しておくのがポイント。権利の説明を求められたときに困らないよ!
AIが生成したコードのライセンスは、何を確認する?
AIの出力が公開されているオープンソースのコードと一致すると、そのコードのライセンス条件が問題になる可能性があります。確認するのは、一致するコードがないか、提案されたライブラリのライセンスが案件で使えるものか、の2つです。
- 公開コードとの一致:GitHub Copilotには、公開コードと一致する候補をブロックするか、一致したコードの情報(ファイルのURLや検出したライセンス)つきで表示する機能がある(code referencing)。どちらの設定になっているか確認する
- ライブラリのライセンス:AIが提案したライブラリも、ふだんと同じようにライセンスを確認する。コピーレフト型(GPLなど)のライセンスは、クライアントの方針で使えないことがある
- 確認する人:オープンソースのライセンス確認を、自分とクライアントのどちらがするかを契約前に決める
AIが書いたコードでも、確認して納めるのは自分です。準委任契約では、受けた側は専門家として通常求められる注意を払う義務(善管注意義務)を負います。契約の基本は委任と委託の違いで紹介しています。
契約前に確認することは?(チェックリスト)
業務委託契約書・秘密保持契約書・クライアントのAI利用ルールを見ながら、次の項目を確認します。書かれていない項目は、面談か契約前にメールで質問しましょう。
契約書・秘密保持契約
- 業務委託契約・秘密保持契約に、生成AIや外部サービスの利用についての条項があるか
- 条項がない場合、秘密情報の「第三者への開示」「目的外の利用」の禁止に、AIサービスへの入力が含まれるかを確認したか
- 契約の相手(エージェントかエンド企業か)と、エンド企業のルールのどちらが優先されるか
- 契約終了時に、AIサービス上の会話履歴やアップロードしたファイルを削除する必要があるか
クライアントのAI利用ルール
- 生成AIの利用ガイドラインがあり、読んだか
- 使ってよいツールの名前とプラン(法人契約のアカウントか、個人契約か)
- AIツールのアカウントはクライアント支給か自分で用意するか。利用料はどちらが負担するか
- 入力してよい情報の範囲(ソースコード、設計書、ログ、テストデータ)
- 学習に使わない設定・契約になっているか。確認した画面を保存したか
- AIコーディングツールに与える権限(読めるフォルダ、コマンドの実行、本番環境への接続)
成果物と権利
- 成果物の著作権がどちらのものになるか。AIで作った部分の扱い
- 「第三者の権利を侵害しない」ことの保証条項の範囲
- オープンソース・AI生成コードのライセンス確認を誰がするか
- 成果物や報告書に、AIを使ったことを書く必要があるか
- AIの出力をレビューする手順(コードレビュー、テスト)
事故が起きたとき
- 誤って情報を入力したときの報告先と、報告までの期限
- 漏れた認証情報を無効にする手順と、連絡する相手
経済産業省は2025年2月に「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」を公表しています。AI事業者ガイドラインの別添6では、AIの利用・開発の契約を「汎用的AIサービス利用型」「カスタマイズ型」「新規開発型」の3つに分けて紹介しています。フリーランスが市販のAIツールを使うのは「汎用的AIサービス利用型」で、契約の中身はそのサービスの利用規約です。AIを組み込むシステムを開発する案件では、クライアントとAIサービスの間の契約条件も、作るものに影響します。
契約に条項がない・AIの利用が禁止されているときは、どうする?
禁止されているなら使いません。条項がないときは、使う前に確認し、答えをメールなど文書で残します。口頭で「使っていいよ」と言われただけだと、担当者が変わったときに説明できません。
確認のメールには、次の5点を書くと返事をもらいやすくなります。
- 使いたいツールの名前とプラン(例:法人向けプラン、学習に使わない設定済み)
- 使う作業(例:テストコードの作成、エラーの原因調査、ドキュメントの下書き)
- 入力する情報と、入力しない情報(例:該当モジュールのコードのみ。個人情報・認証情報・本番データは入力しない)
- 出力の確認方法(例:レビューとテストを通してからコミットする)
- ほかに守るべき社内ルールがあれば教えてほしいこと
禁止されている案件でも、クライアントが用意した環境(社内で契約しているAIツールなど)なら使える場合があります。その環境があるかを聞いてみるのも一つの方法です。
誤って情報を入力してしまったときは、どうする?
隠さず、すぐに報告します。報告が遅れるほど、信頼を取り戻しにくくなります。
- 被害を広げない:認証情報なら、すぐに無効にして発行し直す。会話やファイルは、サービスの削除機能で消す
- 記録する:何を、いつ、どのサービスに入れたか。学習の設定とプランはどうだったか
- 報告する:契約先の担当者に、わかっていることと調査中のことを分けて伝える
- 指示に従う:調査に協力し、再発防止策をまとめる
PCの紛失や誤送信も含めた初動の流れは、情報セキュリティ資格のおすすめ9選の「事故が起きたときの初動」にまとめています。
よくある質問
個人で契約したChatGPTやClaudeを、案件で使ってもいいですか?
クライアントが許可していれば使えます。個人向けプランは、法人向けプランと学習やデータの扱いが違うことがあります。許可をもらうときに、プラン名と学習の設定も伝えておきましょう。
学習に使わない設定にすれば、顧客のコードを入れてもいいですか?
設定だけでは決められません。入れてよいかは、契約とクライアントのルールで決まります。学習に使わない設定でも、一定期間サービス側に保存されることがあります。
AIで書いたコードの著作権は誰のものですか?
AIだけで作った部分は、著作権が認められないことがあります。人が具体的な指示を重ねたり、加筆・修正したりした部分は、著作物と認められる可能性があります。成果物の権利をどう扱うかは、契約で確認してください。
契約書にAIの条項がない場合は、使っていいですか?
条項がないことは、許可とは限りません。秘密保持条項の「第三者への開示」の禁止に、外部サービスへの入力が含まれると考えるクライアントもいます。使う前に確認し、答えをメールで残しましょう。
AIを使ったことを、クライアントに伝える必要はありますか?
契約やルールで決まっていれば伝えます。決まっていなくても、成果物の著作権を譲渡する契約なら、AIを使った範囲を説明できるようにしておくと安心です。文化庁のチェックリスト&ガイダンスも、AI生成物を取引する場合は関係者に説明することを勧めています。
AIを使った開発の経験は、職務経歴書に書けますか?
書けます。ただし、秘密保持契約で書ける範囲が決められていることがあります。業種・規模・使ったツール・成果の数字など、書き方の例は職務経歴書・スキルシートに「AIを使った経験」をどう書くかで紹介しています。
まとめ
- 生成AIを使えるか、何を入れてよいかは、契約とクライアントのルールで決まる。条項がなければ、使う前にメールで確認する
- 認証情報は入れない。個人情報・顧客のコード・未公開の仕様は、許可と設定を確認してから
- 「学習に使わない」かはプランと設定で変わり、途中で変わることもある。案件に入るたびに公式ページで確認する
- AIだけで作った部分には著作権が認められないことがある。AIを使った範囲と、自分で直した範囲を記録しておく
- テックスペースのAI関連案件290件のうち17件(5.9%)は、必須スキルにセキュリティ・ガバナンスなどが入っている。安全に使う設計も、AI案件の仕事の一部
AI時代のエンジニアの戦い方の記事一覧
- AI時代のエンジニアの戦い方|案件データで見る、仕事が残る人・単価が上がる人
- AI・LLM案件の単価相場と必要スキル
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- AIコーディングツールを使う案件の単価と求められ方
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- Pythonから生成AI案件に移る
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